大手百貨店で販売員の労働環境の改善の動きが加速しています。

三越伊勢丹ホールディングスと高島屋が4月から、一部店舗で営業時間の短縮を実施するとしています。三越伊勢丹は、3店で4月から営業時間を30分短縮するとしています。同様の取り組みは2009年以降、首都圏の店舗で順次進められていました。高島屋は、旗艦店の日本橋高島屋で当面は8月まで、営業時間を1時間短縮するとしています。流通王手のイオンは、42店で3月から開店時間を午前7時から8時に繰り下げました。

営業時間が長ければ、従業員の勤務時間を多く確保しなければなりません。また、人員が確保できないために無理な残業を強いるケースも少なくありません。そのような職場は敬遠され、モチベーションの低下につながります。そのため、営業時間を短縮することで販売員の労働環境を改善し、人材確保と接客の向上につなげる狙いがあります。

三越伊勢丹は、首都圏8店舗で今年1月の元日と2日を休業し、3日に初売りを行ったことで話題になりました。特に2日は初売りで多くの客が集まる書き入れ時です。書き入れ時の2日を休業にしたのは、元日や2日を休みたいと考える販売員に配慮した対応と言われています。

営業時館の短縮や1月2日を休業日にすると、当然売り上げは大きく減少します。たとえ30分の営業時間の短縮であっても、塵も積もれば山となります。初売りの1月2日は多くの商業施設において、おそらく年間で最大の売り上げを稼ぐ日です。その2日を休業にして初売りを後ろ倒しすることはかなりの勇気が必要です。英断と言えるでしょう。

■ 深刻な人手不足

人手不足は深刻です。求職者1人あたり何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、09年から15年まで一貫して上昇しています。15年平均の有効求人倍率は1.20倍です。つまり、求職者1人に対して求人数が1.2件あることになります。年々、求職者が就業先企業を選別しやすくなっていて、企業側がより劣位に立たされていることが鮮明になっています。

大手百貨店の販売員の労働環境改善の動きは、今後、他の流通業界にも広がっていくことでしょう。もちろん、飲食業などの流通業以外も同様です。大手企業は営業時間の短縮や時給アップなどで人材の囲い込みを加速させています。日本の労働人口は減少の一途をたどり、人手不足の波が広がることは確実といえます。人材の争奪戦が加速しています。人材がいなければ売り上げを上げることができません。人材を確保するために、求職者が働きたいと思える労働環境の提供は必須と言えるでしょう。

中小企業や小規模企業はさらに苦境に立たされることが予想されます。営業時間の短縮や時給アップで大手企業に対抗するのは困難です。営業時間の短縮や時給アップを検討する余地は大いにありますが、制度面以外の要素で人材を引きつけていく必要があります。

やりがいのある仕事を積極的に任せたり、きめ細かい教育を行ったり、従業員同士の結びつきを強化するための親睦を深めるといった、他では提供できない職場環境を提供していく必要が、中小企業や小規模企業には求められます。逆に、こういったことは中小企業や小規模企業の方が取り組みやすいといえます。大手企業は何事も一律的に行わなければなりませんが、中小企業や小規模企業は個別的に対応できるからです。従業員が求める職場環境像を明確化し、個別的に対応していくことがカギとなりそうです。

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