「モノより思い出」

1999年から始まった、日産・セレナ(自動車)のCMのキャッチコピーです。消費者の消費意識が「モノ」から「コト」に移行していると言われて久しいですが、そのことを端的に表現した「モノより思い出」というキャッチコピーは今でも色あせていません。

市場では、同じモノを売っていても、売れている事業者と売れていない事業者があるという両極端の現象があちらこちらで発生しています。全く同じモノを売っているにもかかわらずです。なぜそのようなことが発生するのでしょうか。理由の一つが、冒頭の「モノより思い出」にあります。

同じモノを売っている事業者同士を比較してみると見えてくるものがあります。売れている事業者は「モノ」より「思い出」を売っています。「思い出」というと少しこそばゆい感じがするかもしれません。「コト」や「体験」、「繋がり」、「ワクワク感」、「感動」などといった言葉に置き換えてもいいでしょう。

セレナのキャッチコピーは、車という物体としてのモノを買ってもらうのではなく、車を利用して家族で出かけて楽しい思い出をつくってもらうという、車を通じて得られる体験をパッケージとして買ってもらうことを狙いました。セレナは2008年度から2013年まで6年連続でミニバンの販売台数でトップとなるなど、販売に成功しています。

ところで、海洋生物の「タコ」の販売で成功した事例があります。タコを爆発的に売るための方法など存在するのでしょうか。タコをどの事業者が販売しても売れ行きに大差はないように思えます。しかし、タコを「モノ」として販売するのではなく、「コト」として販売することで成功した事例があります。「タコ箱オーナー」事業です。

■ タコ箱オーナーとは

タコ箱オーナーは、北海道留萌市が地元の「タコ箱漁」をPRするために企画した事業です。タコ箱漁とは、タコが暗い穴に潜り込む習性を利用し、小さな箱を海に一定期間沈めてタコを捕獲する漁法のことです。タコ箱オーナーになると、割り当てられたタコ箱で獲れたタコを送ってもらうことができます。運が良ければ数匹のタコを獲得でき、市場価格が高い大物を獲得できることもあります。タコばかりでは飽きるという場合は、二匹目からは甘エビやホタテなどの北海道ならではの水産品と交換することができます。

タコ箱漁オーナーは1箱5000円で100口の募集のところ、22000件を超える応募がありました。購入者の中にはタコ好きの人もいたのでしょうが、多くの人はタコそのものを買ったというよりも、タコ箱のオーナーという未知なる体験や地方産業への貢献といった「コト」を買ったと考えることができます。

モノが溢れるという市場の成熟期は今後しばらく続くでしょう。しかし、「コト」を売っている事業者は多いとは言えません。セレナやタコ箱オーナーのような斬新な切り口が必要です。市場で生き残るためには、このことを真剣に考えていかなければならないでしょう。

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