「値決めは経営」と言ったのは、京セラ・第二電電の創業者である稲盛和夫氏です。適正な価格を設定し、販売量と利幅が極大値になる一点を求めることが重要であるとしています。

価格が割安であれば、販売量は確保できますが利幅が減ります。価格が割高であれば、利幅は確保できますが販売量が減ります。販売量と利幅はトレードオフ(一方を追求すれば、他方を犠牲にしなければならない状態のこと)の関係にあります。両立させることは難しいことですが、販売量と利幅が極大値になる点は必ず存在します。「値決めは経営」とは、その極大値を見定めることと言えるでしょう。

ところで、価格は商品・サービスごとに変化をつけて決めることが一般的です。ある商品・サービスは価格を低く抑えて、ある商品・サービスは価格を高めに設定するといった具合です。

■ マクドナルドの巧みな商品価格政策とは?

例えば、マクドナルドは価格設定の観点から、商品を大きく二つのグループに分けて販売しています。一つは、「集客商品」となる価格を低めに抑えた商品グループです。もう一つは、「金のなる木商品」となる価格を高めに設定した商品グループです。

集客商品は、100円マックや限定販売商品などです。利幅を少なくしてでも価格を抑えることで集客を実現することを狙います。金のなる木商品は、ビッグマックなどの一部のハンバーガーやフライドポテト、ドリンクなどコストが低い商品に高い利幅を加えて価格を高めに設定することで利益を確保することを狙います。集客商品で消費者を引きつけて、金のなる木商品の購買に誘導することで収益を最大化させます。

■ 具体的な価格の設定方法

それでは、もう少し具体的な価格設定の方法を見ていきます。集客商品を1品、金なのなる木商品を1品販売する店があるとします。この店の損益構造はコストが80%、利益が20%だとします。仮に月の売上高が300万円、コストが240万円(80%)、利益が60万円(20%)だとします。

営業日数が月に30日とした場合、1日あたりの売上高は10万円になります。そうすると、コストは8万円、利益は2万円になります。平均単価が1000円だとした場合(単純化のため、平均買い上げ点数は1.0点とする)、1日あたりの販売点数は100点となります。

集客商品のコストが800円だとした場合、通常であれば利幅は200円(20%)となりますが、価格を抑えて集客を図りたいので、利幅を100円に設定し、価格を900円に抑えるとします。この場合の予測販売点数を60点とした場合、予測売上高は5万4千円、予測コストは4万8千円、予測利益は6千円となります。

次に、金のなる木商品の価格設定を考えます。金のなる木商品のコストが800円だとした場合、通常であれば利幅は200円(20%)となりますが、集客商品で利益を低く設定しているため、金のなる木商品では利幅を高く設定する必要があります。

この店は、1日あたりで売上高は10万円、コストは8万円、利益は2万円確保しなければならないので、集客商品の予測売上高5万4千円、予測コスト4万8千円、予測利益6千円を差し引いた、売上高4万6千円、コスト3万2千円、利益1万4千円を金のなる木商品で確保する必要があります。

金のなる木商品のコストは800円なので、コスト3万2千円を800円で割った40が販売点数となることがわかります。そうなると、利益は1万4千円必要なので40点で割ると必要な利幅が350円となることがわかります。そして、コスト800円と利幅350円を足した1150円が金のなる木商品の価格となります。

ここで、集客商品の価格900円と予測販売点数60点、金のなる木商品の価格1150円と予測販売点数40点が妥当かを判断します。妥当でなければ利幅と価格を調整し新たな予測販売点数を算出して、その妥当性を再度検証します。これを繰り返すことで適正な価格と販売量を導き出すことができます。

販売する商品・サービスが3種類以上ある場合も考え方は基本的に同じです。価格設定を勘で行うのではなく、具体的な数値で検証することが適正価格と適正販売量を見極める際の重要なポイントとなります。まさに「値決めは経営」と言えるでしょう。

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