総合スーパーのイトーヨーカ堂が、中国内の北朝鮮系の企業が製造した衣料を販売していたことが『産経新聞』(平成28年日刊26378号)により報じられました。紳士服のAOKIも販売していたとしています。政府は核実験を強行した北朝鮮からの輸入を禁止していますが、その制裁をすり抜けて日本企業に納品され販売されているようです。

北朝鮮の海外労働者により第三国で生産された製品を日本国内で販売する行為は認められています。しかし、制裁をすり抜けて日本企業を通じて販売されている実態が浮き彫りとなり波紋を広げています。

■ イトーヨーカ堂の営業損益と最終損益は大幅な赤字

ところで、イトーヨーカ堂は苦境に立たされています。2016年2月期決算では営業損益が139億円の赤字、最終損益が239億円の赤字となっています。営業収益は1兆2895億円で前年同期比0.2%増とかろうじて増収となりましたが、この10年を見てみるとほぼ一貫して減少し続けています。

カテゴリー別の売上高を直近の10年で見てみると、「衣料」「住居」「食品」の売上高は減少傾向にあります。「テナント」の売上高は上昇傾向にあるため、イトーヨーカ堂製品が苦戦し、テナントの売り上げで穴埋めをしている現状が浮き彫りとなっています。

「衣料」の07年2月期の売上高は2905億円で、その後は減少し続けています。11年は前年を上回りましたが、それ以外の年は07年から16年まで全て前年を下回っています。

総合スーパーは苦境に立たされています。衣料品であれば、「ユニクロ」や「しまむら」、「ZARA」といった専門店の台頭が大きく影響しています。イトーヨーカ堂の16年2月期末の店舗数は182店舗です。一方、たとえばユニクロの15年8月期末の店舗数(フランチャイズ含む)は841店舗です。大手の専門店は規模に勝るため、低価格で販売することが可能です。また、専門性が高いため付加価値の高い製品の開発が可能です。総合スーパーは劣位に立たざるをえません。

イトーヨーカ堂の「テナント」の売上高は10年前の07年2月期が2229億円で、その後は上昇し続けています。10年は前年を下回りましたが、それ以外の年は07年から16年まで全て前年を上回っています。

■ テナントに頼らない再建はできるのか

ユニクロなどの専門店をテナントに誘致することで、イトーヨーカ堂製品の売上高減少の穴埋めをしています。しかしそうは言っても、自社製品の競争力を落としていいわけではありません。そうした苦境から、冒頭で紹介した、北朝鮮系の企業が製造した衣料品を販売することに繋がっていたのかもしれません。法的には問題がないのかもしれませんが、決してイメージのいいことではないでしょう。逆に言うと、そこまでしなければならないほど追い詰められていると言えるのかもしれません。

イトーヨーカ堂を再建できぬまま、鈴木敏文氏はセブン&アイHDの会長兼社長の任を降りることになりました。世間を騒然とさせました。カリスマ経営者と言われた同氏の関与が薄まる中でイトーヨーカ堂は再建できるのでしょうか。今回の報道が今後どのように広がるかはわかりませんが、イトーヨーカ堂を取り巻く経営環境は、厳しい状況がしばらく続きそうです。

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