ヤフーとプロ野球福岡ソフトバンクホークスは、12日までの巨人戦から、ビッグデータやAIを使ってチケットの価格を決める販売を実験的に始めたと「産経新聞」(平成28年日刊26389号/2面)で報じられました。対戦チームの組み合わせや売れ具合などを考慮して価格設定が行われます。

AIが天候やリーグ内の順位、曜日などを解析し、同じエリアでも座席が1列前後するだけで価格を変えます。7月以降は開始2時間後まで販売しリアルタイムで価格を下げていくようです。

曜日や対戦チームによって価格を変えることはこれまでも行われていましたが、米大リーグではすでに行われている、事前に金額を印字する必要のない電子チケットによる価格変動方式を日本のプロ野球で採用したのは初めてとみられます。

■ 価格差別とは

上記のように、1つの商品・サービスを2種類以上の価格で販売することを「価格差別」といいます。価格差別にはいくつかの種類があります。

「時期別価格設定」…季節や月、曜日、日、時間で価格を変動させる方式です。時期によって需要が異なる場合、繁忙期には高い価格を設定し、閑散期には安い価格を設定します。たとえば、ホテルは週末の料金を安くしています。

「場所別価格設定」…販売する場所によって異なる価格を設定する方式です。たとえ同一コストの商品・サービスでも異なる価格を設定します。たとえば、劇場やスポーツ観戦の座席の価格は位置によって異なります。

「顧客セグメント別価格設定」…顧客グループによって異なる価格を設定する方式です。たとえば、遊園地は大人料金と子供料金といったように顧客グループで異なる価格を設定しています。

「チャネル別価格設定」…販売チャネル(流通経路)によって異なる価格を設定する方式です。たとえば、コカ・コーラはファーストフード店や自動販売機、レストランでそれぞれ異なる価格を設定しています。

「優先的価格設定」…販売の優先順位に応じて異なる価格を設定する方式です。たとえば、航空会社は早期購入には安い価格を設定し、遅い購入には高い価格を設定しています。過去の利用履歴により価格を変動させる企業もあります。

■ 価格差別は収益性を高める

上記は価格差別の代表的な例です。冒頭のヤフーとソフトバンクホークスによる価格変動方式は、膨大なビッグデータやAIを活用して価格差別を複合的・合理的に行うという新たな試みといえるでしょう。価格差別は非常に合理的といえます。同一商品・サービスであっても、顧客によって支払ってもいいと考える価格は異なるのが普通だからです。

しかし少し昔までは、同一商品・サービスであれば価格は一定であることが当たり前という消費者の共通認識があったため、価格差別が行われることは限定的でした。価格差別はまさに「差別的」であり、非難の的になることがあったからです。儲かるとわかっていても、価格差別を行いづらい環境下であったといえます。

ただ、近年はそうした消費者の認識には変化が見られるようです。人間は個人個人が違っていて当たり前という認識が広がりを見せているのに合わせてか、人によって価格が違っていても当たり前(しょうがない)という認識が広がりつつあります。価格差別が受け入れられやすくなっているといえるでしょう。

たとえば、一部のカタログ販売業者は、同一商品にもかかわらず価格だけが異なるカタログを発送しています。所得が高い地域に住む人には高い価格設定のカタログを発送し、所得が低い地域に住む人には低い価格設定のカタログを発送しています。

ビッグデータやAIの活用が進むにつれて価格差別はさらに広がっていくでしょう。価格差別は非常に合理的です。ただそうはいっても、価格差別にリスクがなくなったというわけではありません。消費者の反感を買ってしまう可能性は今でもあります。法令に違反する可能性もあります。管理コストが獲得利益よりも高くなってしまうこともあります。実施には慎重な判断が必要といえるでしょう。

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