子供服、ベビー用品、マタニティウェアの専門店「西松屋」が絶好調です。

西松屋を運営する西松屋チェーンは16日、2017年2月期第1四半期決算を発表しました。売上高は358億9400万円、営業利益は29億5500万円、経常利益は29億9200万円となりました。

売上高は前年同期比3.1%増、営業利益は31.8%増、経常利益は30.6%増となりました。増収増益です。特に営業利益と経常利益の驚異的な増加は特筆に値するといえるでしょう。

好調な業績を受けて、第2四半期(累計)個別業績予想の上方修正を発表しました。前回発表との比較で、売上高は673億5700万円に据え置きましたが、営業利益は23.6%増となる36億5000万円、経常利益は23.1%増となる37億3600万円としています。

直近10年の通期の業績を見てみます。売上高は07年が1043億円で、その後は一貫して右肩上がりで上昇し、16年は1328億円にもなっています。店舗数は07年が553店舗で、同じく一貫して右肩上がりで増加し、16年は887店舗になっています。大台の1000店舗が射程圏内に入ってきています。

■ 地道にチェーンストア理論を実践

業績の好調の要因として、特に目新しいものがあるわけではありません。従来のチェーンストア理論を地道に実践してきたことが功を奏しています。充実した品揃えと低価格販売、標準化された店舗の拡大、近接商圏に集中して出店させるドミナント戦略、不採算店舗のスクラップ・アンド・ビルドなどを行っていきました。

西松屋は、売上高や店舗数といった「規模」の面では好調な業績を保つことができていました。しかし、「利益」の面では必ずしも好調に推移してきたわけではありませんでした。直近10年で見てみると、経常利益は07年では113億円ありましたが、その後は右肩下がりで低下し、12年には50億円にまで低下してしまいました。

12年2月期決算における利益面の不振は、2011年3月に発生した東日本大震災の影響が大きかったといえますが、そういった特殊な事情を除いて考えても、利益の低下を食い止めることができていない深刻な状況でした。

西松屋は、新規の店舗を未開拓地に出店させることで、規模の面では拡大を実現することができました。一方で、既存の店舗では同業の専門店や量販店、百貨店との競争にさらされていました。加えて、それまでは直接の競合ではなかったホームセンターやドラッグストア、ネット事業者などの参入により競争が激化し、特に利益の面で大きな脅威にさらされることになったのです。

■ 同業の「フーセンウサギ」は自己破産した

競争の激化を物語る出来事が2013年に発生しました。「フーセンウサギ」が負債総額30億円で自己破産したのです。同社はベビー向け高級ブランドの「CELEC(セレク)」やライセンスブランドを扱う子供服製造卸企業です。売上高はピークである97年に299億円を計上していましたが、競争の激化によりその後は徐々に低下していきました。

フーセンウサギの業績悪化は、前述した販売チャネルの多様化と低価格競争の激化、少子化の進展による市場規模の縮小が大きく影響しました。当時はデフレ不況が色濃く残っていました。高級路線を歩んでいた同社でしたが、消費者の低価格志向圧力に対抗できるほどの経営体力がなかったことが自己破産につながったと考えられます。

フーセンウサギの自己破産に見られた競争激化の波はもちろん西松屋にも及んでいました。前述した西松屋の利益面の後退がそれを示しています。しかし、フーセンウサギと違ったのは、西松屋には競争激化に耐えられるだけの経営体力があったことです。

西松屋は、地道なチェーンストア理論の実践による規模の拡大が経営体力の増強につながりました。そのことが競争激化を生き抜いていくことに大きく寄与しました。しかし、理由はそれだけではありません。競争激化で低下していた利益を改善させたことが競争力を高めることにつながりました。

■ PB商品の強化と徹底したコスト削減が功を奏した

西松屋はPB(プライベートブランド)を強化していきました。PB商品が高い競争力を生み出しました。たとえば、10年に発売を開始したベビーカーの「バギーfan」や、15年に発売を開始した伸縮性が売りの「ストレッチパンツ」が大ヒットしました。従来の商品と比べて低価格での販売ですが、PB商品のため高い利益率を確保することができます。

コスト削減にも注力していきました。業務システムの見直しによる物流費の抑制、ITを活用した作業の省力化や合理化を行いました。店舗内でもコスト削減の痕跡を見ることができます。たとえば、高いところにある商品をお客が自ら手に取ることができるように「商品取り棒」を売り場の各所に置いています。セルフ販売を強化することで人件費を抑制しています。

PB商品の充実による粗利益の拡大と徹底したコスト削減により、低下していた利益を拡大させることに成功しました。12年2月期決算で50億円にまで落ち込んでいた経常利益は、16年には61億円にまで回復させることができました。そして、17年2月期第1四半期の経常利益は前年同期比で30.6%増となる大幅な利益の増加につながったのです。

最盛期には届いていないものの、利益面の改善の兆しは見えてきました。しかし、少子化の流れは止まりそうにありません。予断を許さない状況といえるでしょう。今後は、商品のさらなる付加価値の向上により、販売単価と客単価の向上が求められると考えられます。少子化によりターゲット層の人口が低下するのであれば、顧客一人当たりの購買価格を上げる必要があるからです。顧客とのロイヤルティの強化が必須といえるでしょう。

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