「コメダ珈琲店」などを展開するコメダホールディングスが6月29日、東京証券取引所の第1部に上場しました。売り出し価格は1960円で、初値は1867円、終値は1879円とまずまずの滑り出しとなりました。

コメダ珈琲店は1968年1月に名古屋で創業しました。93年4月に株式会社コメダを設立しFC展開を本格化させていきます。13年4月には国内500店舗を達成し、16年4月末時点では681店舗にもなっています。国内681店舗の中で直営店はわずか10店舗、それ以外の671店舗はFC店となります。2020年度末までに1000店舗を目指すとしています。

■ コメダの利益率は他に類を見ない水準

コメダは驚異的な利益率を誇ります。2016年2月期の連結会計年度の業績は、売上高が217億円(前年同期比13.2%)、営業利益が65億円(11.0%増)、営業利益率は30.2%となっています。

営業利益率が30%を超えるというのは驚異的といえます。コメダはほとんどがFC店での展開のため、営業利益率を単純に他の競合と比較することは適切ではありません。また、コメダは16年2月期から国際会計基準(IFRS)で連結財務諸表を作成しているため、「のれん」の償却による費用計上がない等、日本基準の会計とは異なる点もあります。

しかし、そういった違いを考慮して考えてみても、コメダの営業利益率が30%を超えているというのは他に類を見ないことといえます。仮に、のれんの償却を20億円/年と推計して費用計上したとしても、それでも営業利益率は約20%になる計算です。

コメダが急成長し高い利益率を実現している理由はどこにあるのでしょうか。まずは、無料で提供している「モーニングサービス」を挙げます。

■ コメダの「モーニングサービス」とは

コメダでは開店から朝11時まで、ドリンクメニューには無料でモーニングサービスを付けることができます。モーニングサービスは3種類ありますが、その中でも定番で人気なのが「焼きたてトースト」と「ゆで玉子」がセットとなるものです。

トーストはただのトーストではありません。厳選した素材を自社工場にて独自の製法で加工し、毎日店舗に配送しています。パンは時間経過すると風味が劣っていくため、直送で毎日配送しているということは大きな意味を持ちます。コメダでは新鮮で美味しいパンを食べることができるのです。ゆで玉子は作り置きしたものではなく、温もりがある状態で提供しています。

コメダは、モーニングサービスのトーストとタマゴに対して手間暇を惜しまない工程を加えることで、新たな付加価値を創造することに成功したのです。ただ、これには問題が生じます。それは、提供に時間がかかってしまうことです。しかし、コメダではこのことは大した問題にはなりません。

というのも、コメダは「くつろぎ」の時間と空間を提供するというビジネスモデルだからです。たとえば、ソファーは座り心地を追求したオリジナルのもので、高い間仕切りにより隣の席とは遮断されたプライベート感のある席を用意しています。また、自由に読める新聞や雑誌を多数備えています。

このことから、コメダの顧客は比較的長時間、店舗に滞在します。そのため、注文したメニューの到着が多少遅くても大きな問題にはならないのです。

モーニングサービスは無料ですが、ドリンクメニューとセットが条件となります。コメダの中では価格が低い定番の「ブレンドコーヒー」で420円です。これは競合と比べて決して安いとは言えません。コーヒーとパンは自社グループの工場から店舗に直接供給しているため、流通コストを抑えることができています。タマゴの原価はたかが知れているでしょう。

つまり、コメダの主力メニューであるモーニングサービスは高い利益率を確保することができるのです。無料で顧客の興味を引きつけ、利益率の高いドリンクメニューで稼ぐ戦略となります。

■ コメダ名物「シロノワール」

コメダのメニューの核はモーニングサービスだけではありません。「シロノワール」を外して語ることはできないでしょう。シロノワールはふんわり焼いたデニッシュパンの上にたっぷりのソフトクリームがのっている人気のスイーツです。好みでシロップをかけることができます。1977年から販売されている長寿メニューとなっています。

■ コメダの絶妙なポジショニング

こうした魅力的な商品をくつろいで楽しむことができるのがコメダの魅力です。そして、コメダの特徴として顧客の年齢層が比較的高いことを挙げることができます。シニア層も少なくありません。また、ファミリーでの来店も見受けられます。このことは、差別化の要因として挙げることができます。

コメダの顧客層は大手の競合と大きく重複しません。たとえば、スターバックスのメインターゲット層は若者です。ドトールはビジネスパーソンです。タリーズは前者よりも年齢層がやや高くなる程度です。コメダはこうした大手競合と異なる顧客層を取り込むことに成功しています。

また、コメダはロードサーイドを中心に出店してきたため、大手の競合とは直接の競争を避けることができました。名古屋をはじめとする中京エリアを中心に出店してきたことも競争回避につながりました。

コメダ珈琲店の16年4月末の出店状況は、中京エリアが343店舗、東日本エリアが172店舗、西日本エリアが166店舗です。このことから、これまでは中京エリアで成長し、これからは関東や関西を中心にさらなる成長が期待できると考えることができます。また、16年4月末の海外での出店は上海の1店舗のみのため、今後は海外への出店も広がっていくことでしょう。

以上のことから考えてみると、コメダの好調な業績を支えているのは名物となるメニューの存在に加えて、「接妙なポジショニング」にあると考えることができます。ニッチすぎず、かといって大手と直接競合しないある程度の旨味のある市場に結果として位置し、そこで弛まぬ努力を重ねたことが成功につながったといえます。コメダの快進撃はまだまだ続きそうです。

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