ユニクロを運営するファーストリテイリングが7月14日に発表した2016年8月期第3四半期(9〜5月)の業績は、売上高が1兆4346億円(前年同期比6.4%増)、営業利益が1458億円(23.0%減)、親会社に帰属する当期利益が710億円(46.4%減)となりました。

増収減益となりました。売上高は上昇したものの、利益は大きく減少しています。

減益の理由は、円高により、その他費用に為替差損を67億円、金融費用に為替差損を234億円計上したことが影響しました。期首の為替レートは1ドル約121円、5月末は1ドル約111円となっています。

セグメント別では、ジーユー事業を中心とするグローバルブランド事業が増収増益となりましたが、国内ユニクロ事業と海外ユニクロ事業が増収減益となっています。

■ 国内のユニクロが深刻な状態

国内ユニクロ事業の16年第3四半期(9〜5月)の業績は、売上高が6454億円(1.1%増)、営業利益が932億円(18.1%減)となっています。営業利益の減少が深刻です。

営業利益の減少は、2014年に秋冬商品を平均5%値上げしたことと、15年に秋冬商品を平均10%値上げしたことにより、客数が大きく減少したことが影響しています。16年8月期上期累計での客数は6.3%減、3〜5月は6.1%減となっています。6月も3.6%減と客足は戻っていません。

値上げにより客数が減っても、客単価が上昇することで売上高が増えれば問題がないようにも思えます。しかし、客数の減少は二つの点において問題があるといえます。

一つは、一度離れてしまった客足は簡単には戻らないということです。値上げの失敗から、価格帯を元に戻すことを表明しましたが、そのことを知らない消費者も多いことでしょう。値上げにより割高になったことを嫌った消費者が、「しまむら」などの競合他社に流れていても不思議ではありません。競合他社の良さを知ってしまった消費者がユニクロに戻らないということは十分に考えられることです。

もう一つの問題は、「買上率」の低下です。「客数」は「来店客数×買上率」で導かれます。客数が減少しているというのは、来店客数が減っているか買上率が低下しているかのいずれか、もしくは両方です。買上率が低下しているということは、来店しても買わない客の割合が増えていることを意味します。値段が高いから買わない客が増えた可能性があります。

買上率の低下がなぜ問題なのかというと、買わない客により店内が混雑し、売り場が乱れやすくなるからです。そうなると、乱れた売り場を立て直すために、人員を投入しなければならなくなります。当然、人件費が上昇します。

以上の理由により、買上率の低下による客数の減少は人件費の上昇を招きます。また、値上げした商品で売れない状態が続く場合は値下げする必要があるので、売価変更作業が無駄に発生してしまいます。その作業にも当然、人件費はかかります。

■ 販管費の上昇が経営を圧迫している

このことは数値にも如実に表れています。国内ユニクロ事業の16年8月期上期の人件費は441億円で、前年同期から31億円も増加しています。16年3〜5月期の人件費は売上高の比率において、前年同期比で-0.1ポイントの改善に過ぎません。

国内ユニクロ事業では、人件費の上昇などによる売上販管費率の上昇が問題となっています。そのため、週末の限定販売を抑え、EDLP(年間を通じて同じ低価格で販売する価格戦略)への移行を模索し、人件費や広告宣伝費を抑えようとしています。

また、東京・有明に専用倉庫としては国内最大となる多機能物流拠点を開設しました。店舗への配送頻度を増やすことで店舗での欠品を抑制し、バックルーム在庫の減少による店舗オペレーションの効率化を目指します。

ファーストリテイリングのグループ上席執行役員CFOは決算説明会で、有明の物流センターについて「首都圏向けの店舗配送は開始している」と述べています。EC向け配送については「基本翌日配送を前提とし、秋冬商戦から本格稼働させる。地域によっては当日配送も行っていく」と答えています。

売上販管費率の上昇により営業利益率が低下した側面があります。ユニクロは値上げにより離れた客足を取り戻し、売上高を向上させることはもちろん、販管費等のコスト削減を進めていく必要があります。今回の決算ではそのことが明確に示されたといえます。そして、値上げにより傷ついた信頼を回復させることが急務となりそうです。

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