かっぱのマークでおなじみの「かっぱ寿司」の業績不振が鮮明となっています。

かっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイト(以下、かっぱ寿司)の2017年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が190億円(前年同期比7.0%減)、営業利益が2億円の赤字(前年同期は5億円の黒字)、最終損益は1億円の赤字(前年同期は4億円の黒字)となりました。減収減益です。

直近5年の通期の連結業績は深刻な状況です。12年の売上高が926億円、13年が941億円、14年が933億円、15年(13カ月)が876億円、16年が803億円となっています。売上高が大きく落ち込んでいる状況です。最終損益は13〜15年で3期連続の赤字となっています。

同社は不採算店舗の閉鎖を行うなど立て直しを進めていましたが、14年12月に居酒屋「甘太郎」などを展開するコロワイドに買収されました。コロワイドの指導の元、かっぱ寿司の再建を加速させていましたが、業績回復の糸口は見えていない状況です。

かっぱ寿司は一皿100円を中心とした低価格の寿司を提供する回転寿司店として成長してきました。しかし、あきんどスシローが展開する「スシロー」や、くらコーポレーション(以下、くら寿司)が展開する「無添くら寿司」などの競合との競争により経営は悪化していきました。

■ かっぱ寿司は美味しくない!?

かっぱ寿司の業績不振の最大の理由は、寿司の美味しさにおいて問題があることにあります。消費者の間に「安かろう悪かろう」というイメージが定着してしまいました。その点は同社も認識しているようで、「他社との比較において商品品質レベルにおいて劣っている」と自省を込めて述べています。自社工場での加工品を店内加工に切り替えるなど対策を講じていますが、消費者には十分に認知されていないのが現状のようです。

他の競合は安い上に美味しい寿司を提供しています。このことは、食材にかけている費用からもわかります。データを多く公表しているくら寿司とかっぱ寿司の直近5年のデータを比較してみます。くら寿司の売上高に対する仕入の割合は40%を超えています。対して、かっぱ寿司は35%程度にとどまります。

くら寿司に比べてかっぱ寿司は食材に費用をかけていないことになります。一方で、原価率は両者ともに45%程度です。厳密に言うことはできませんが、仕入の割合と原価率に乖離がある場合、廃棄の問題や不適切な値入れ(仕入原価に一定の利幅を加えて売値を決定すること)があることを意味します。

くら寿司の仕入は安定しています。仕入の割合は概ね42%で推移しています。片や、かっぱ寿司は28.8〜47.2%の間で年によって大きく上下しています。つまり、仕入が安定していません。不安定な仕入は食材の鮮度の維持において大きな問題があるといえるでしょう。また、廃棄ロスや販売機会ロスの問題もあります。

かっぱ寿司は新鮮で美味しい食材を提供していく必要があります。そのために、仕入に費用をかけたいところです。仕入の費用を捻出するためには、仕入の安定化と適切な値入れが欠かせません。

さらに、かっぱ寿司にはもう一つの大きな問題があります。それは販管費率です。くら寿司の販管費率は49.3%ですが、かっぱ寿司は54.1%にもなります。食材に投資するためには、まずは無駄な販管費(人件費など)を発生させないようにする必要があります。適正な人件費コントロールや人材育成によるオペレーションの効率化が必須といえるでしょう。

かっぱ寿司は高い鮮度を維持した寿司の提供と廃棄ロスの抑制のために、注文されてから寿司をつくって届けるフルオーダータイプの店舗を拡大させていくとしています。そのためには少なくない資金投資が必要となります。コロワイドの後押しにより、積極的な出店や改装を進めていくものと思われます。方向性は間違っていないでしょう。

私の個人的な感想になりますが、久しぶりにかっぱ寿司の寿司を食べてみたのですが、以前と比べて格段に美味しくなっているように感じました。ただ、世間一般のイメージは未だ「安かろう悪かろう」です。一度貼られたレッテルは簡単には覆すことはできません。

業績をV字回復させるためには、美味しくなった寿司を消費者に粘り強くアピールしていく必要があるといえそうです。

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