トヨタ自動車の2016年4〜6月期連結決算は、売上高が6兆5891億円(前年同期比5.7%減)、営業利益が6422億円(15.0%減)となりました。

営業利益は前年同期よりも1137億円減少しました。原価改善の努力で900億円のプラス、営業面の努力で850億円のプラスとなりましたが、為替変動の影響で2350億円のマイナスとなったことが大きく影響しました。所在地別では日本における影響が大きく、1869億円のマイナスとなっています。

グループの販売台数は2.7万台増加しています。特にアジアでの販売が好調で、5.6万台の増加となっています。営業利益は224億円のプラスとなりました。アジアでの通期の販売見通しは強気の姿勢で、期首の見通し141万台から今回の見通しでは6万台増の147万台と上方修正しています。

営業利益は大幅なマイナスとなりましたが、為替やスワップ等の影響を除くと1450億円のプラスとなります。自動車の販売において大きな問題があるわけではありません。同社の強みの一つである「カイゼン」が今回の決算でも遺憾なく発揮されたかたちです。原価改善の努力で営業利益が900億円のプラスとなったことが物語っています。

■ 研究開発費と設備投資は増やす方向

同社は依然強気の姿勢です。研究開発費は近年一貫して増加しています。13年3月期は8074億円、14年は9105億円、15年は1兆45億円、16年は1兆556億円で、17年見通しは1兆700億円としています。

設備投資も近年一貫して増加しています。13年は8527億円、14年は1兆7億円、15年は1兆1774億円、16年は1兆2925億円で、17年見通しは1兆3400億円としています。研究開発費と設備投資ともに増加させる方向です。

同社にとって研究開発と設備投資は生命線といえます。特に「環境性能の向上」や「安全性能の向上」に対する投資が必須です。

環境性能に関しては、15年12月に発売した新型「プリウス」のEグレードは40.8km/Lの超低燃費を実現しました。エンジンは最大熱効率40%を実現しています。環境性能だけでなく、乗り心地のよさといった基本性能も向上しています。

安全性能では、「ITS Connect」と呼ばれる通信技術網の整備を進めています。ITS専用周波数で道路とクルマが直接通信することで、見通し外の自動車や人の存在、信号情報をドライバーに知らせます。「交通死傷者ゼロ」を実現するための技術開発を進めています。

■ 人工知能技術の研究・開発を推進

さらに、「人工知能技術」の研究・開発を行う新会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート」を16年1月に米国シリコンバレーに設立しました。5年間で約10億ドルを投資するとしています。また、マサチューセッツ工科大学およびスタンフォード大学と連携研究センターを設立し、人工知能に関する研究で連携していくことに合意しています。

人工知能技術は自動車産業においても基盤を担う重要技術と期待されています。ビッグデータの活用により、事故を起こさない自動車の開発を目指します。自動運転技術を利用した高度運転支援システムの開発にも利用できます。新材料探索や生産管理システムなど幅広い領域での応用に向けた技術開発も行っていきます。

トヨタの自動車は進化しています。しかし、今回の決算は減収減益となりました。為替変動の影響という不可抗力的な要素が大きな原因です。致し方ない面があります。一方で、為替変動の影響によりいとも簡単に利益が吹き飛んでしまうという現実も浮き彫りになりました。

同社は先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品の利用でリスクの軽減を図っていますが、それでもリスクを完全になくすことはできません。この点に関しては、今後も難しい舵取りを迫られるといえそうです。

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