ゲーム理論における「囚人のジレンマ」とは、お互いが協力する方が協力しないよりも良い結果になることがわかっていても、協力しないことで自身の利益が大きくなるために、結局はお互いが協力しない状態に陥ってしまうことをいいます。

例を挙げます。犯罪を犯した囚人Aと囚人Bがいます。二人は共犯者です。二人は隔離されていて意思疎通ができない状況にいます。二人に対して検事は司法取引をそれぞれに持ちかけます。

「二人が黙秘したら二人とも懲役2年とする」

「二人が自白したら二人とも懲役5年とする」

「一人が自白してもう一人が黙秘したら、自白した人は懲役1年で済むが、黙秘した人は懲役8年にする」

■ 利得表

検事が持ちかけた司法取引の内容を「利得表」でまとめてみます。利得表とは簡単に言うと「損得」を数値で表した表のことです。

「囚人B」
|黙 秘|自 白|
|2 2|8 1|黙 秘|「囚人A」
|1 8|5 5|自 白|

左側の数値が囚人Aの懲役年数で、右側の数値が囚人Bの懲役年数となります。

この場合、お互いが「黙秘」すると二人とも「2年」で総和は「4年」となり、お互いのためを思うとこの選択が一番少ない懲役年数となります。もし、自身が「黙秘」してもう一人が「自白」してしまうと、自身は「8年」でもう一人は「1年」となります。

二人は隔離されているので相手が「黙秘」する保証がないため、お互いの利益を考えるよりも自身の利益だけを考えた方が得策となります。自身はさっさと「自白」し、もしもう一人が「黙秘」してくれれば自身は「1年」で済みます。もしもう一人が「自白」しても自身は「5年」となってしまいますが、自身が「黙秘」してもう一人が「自白」した場合の自身の「8年」と比べればまだましとなります。

以上を総合的に考えてみると、自身の利益だけを考える場合は「自白」を選択することが得策であることがわかります。このようにお互いが意思疎通できない場合は、全体最適を考えるよりも自身の最適を考えた方が合理的となります。そのため、二人とも「自白」を選択することになり、二人とも「5年」の懲役年数で落ち着くことになります。

■ ナッシュ均衡とパレート効率的

このようにして検事は二人を自白させることに成功します。ちなみに、どのプレイヤーも自身の選択を変更することでより高い利益が得られない選択肢の組み合わせのことを「ナッシュ均衡」といいます。先の囚人の例でいえば、二人とも自白以外の選択(黙秘)を選ぶメリットがない状態、つまりお互いが自白する(協力しない)ことがナッシュ均衡となります。

ところで、二人が自白する状態はナッシュ均衡ですが、「パレート効率的」ではありません。パレート効率的とは、集団内の誰かの効用(満足度)を犠牲にしなければ、他の誰かの効用を高めることができない状態のことをいいます。これを逆にいうと、パレート効率的ではない状態となります。パレート効率的ではない状態は、誰の効用も犠牲にすることなく誰かの効用を高めることができる状態であることを意味します。つまり、非効率的であるといえます。

先の囚人の例はパレート効率的ではなく、非効率的な状態です。なぜかというと、囚人二人が黙秘を選べば、二人とも犠牲を払うことなく効用(懲役年数)を改善できるからです。一方で、検事の立場は自白を引き出すことにあるため、囚人の懲役年数がどうなろうとあまり関係がありません。もしくは、妥当な懲役年数が5年だとして、その5年に誘導することができたともいえます。ゲーム理論を知っていた検事は目的を達成することができました。

囚人のジレンマに似た状況は社会のあちらこちらで見かけることができます。また、人類や生物の進化はゲーム理論で説明できるとも言われています。囚人のジレンマを含めたゲーム理論を知っておくことは、社会生活における様々なゲームで勝つための必須条件といえるかもしれません。ゲームに勝つためにはゲームのルールを知っておく必要があるからです。

【無料メールマガジン】メルマガ「売上倍増戦略講座」が無料です。

下記フォームからお申し込みください

 

空メールでも登録できます