プレゼント上手は経営上手といえます。

第31回夏季オリンピック・リオデジャネイロ大会が21日、閉幕しました。日本は金12、銀8、銅21と計41個のメダルを獲得しました。日本が獲得した41個のメダルは過去最多となっています。

メダルを授与された選手は輝いて見えました。メダルの輝きが、選手の輝きにより磨きをかけているようでした。メダルには実際の重量以上の重みがあります。メダルには実際の価格以上の価値があります。

■ 社会規範と市場規範とは

ところで、ここで二つの「規範」を紹介します。「社会規範」と「市場規範」です。社会規範とは、社会や集団において構成員に期待される態度や行動といった価値体系のことです。一つの例として、何かを頼まれたら無償で手伝うといったことが挙げられます。市場規範とは、金銭で価値の交換を行う価値体系のことです。一つの例として、何かをしてもらうのに金銭を支払うといったことが挙げられます。

人はお金以上に信条のために働くことはよく知られています。社会の役に立ちたい、組織に貢献したいといった信条のために働いています。信条とはすなわち社会規範そのものです。社会貢献や組織貢献といった一般的に期待される価値体系の範疇にあります。

社会規範の中にいる人に対して市場規範を持ち込むと、その人の生産性が低下することが知られています。たとえば、無償でボランティア活動をしている人にねぎらいの意味を込めて100円を渡したら相手は不快に思うことでしょう。「私はそんな安い人間ではない」と。その人のやる気は削がれることになります。

もちろん、社会規範の中にいるからといって報酬をゼロにしていいわけではありません。一般的に期待されている範囲で報酬を支払うことは必要です。ただ、それ以上に報酬を支払っても生産性は逓減するか低下していくだけということです。

オリンピックの例でいうと、最低限の報奨金を支払う必要はありますが、それ以上の報奨金を支払うことを約束しても選手のモチベーションは向上していかないということです。金銭での価値交換ではない社会規範の中に選手は存在するからです。

■ プレゼントは市場規範?社会規範?

では、金銭ではなく「プレゼント」の場合はどうでしょうか。何かのお礼に金銭ではなくプレゼントを渡すのです。たとえば、無償でボランティア活動をしている人にねぎらいの意味を込めてジュースを渡したらどうでしょうか。多くの人が喜んでジュースを受けとるのではないでしょうか。「私の活動はたったジュース1本なのか」と言って怒る人はまずいないでしょう。

プレゼントは市場規範ではなく社会規範の中で留まります。オリンピックの例でいえば、メダルの授与は社会規範の中にあります。

組織で考えれば、組織に対して献身している従業員、頑張っている従業員に対してプレゼントを贈るということは意義があります。社会規範の中で働いている従業員には社会規範の中で対応するべきといえます。特別ボーナスを出すのではなく、プレゼントを贈るのです。特別ボーナスは市場規範の範疇ですが、プレゼントは社会規範の範疇です。

以上から、プレゼント上手は経営上手ということができます。金銭に換算した価値以上の効用をもたらすからです。差し入れやちょっとした贈り物を適時提供することがリーダーには求められるといえます。

ちなみに、プレゼントに値札がついたままだと社会規範ではなく市場規範になってしまうので値札を剥がすことをお忘れなく。

参考文献:『予想どおりに不合理』(ダン・アリエリー著/熊谷淳子訳/早川書房)

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