ノーベル医学・生理学賞を東京工業大学の大隅良典栄誉教授が授与されることが決まりました。

飢餓状態に陥った細胞が自らのタンンパク質を食べて栄養源にする自食作用「オートファジー」の仕組みを解明し、生命活動に欠かせない基本的な現象を明らかにしたことが評価されました。日本人の受賞は3年連続です。単独受賞の快挙を成し遂げました。

10月4日の産経新聞にある大隅教授の言葉が印象的でした。

「自分の興味に素直になってサイエンスを楽しまなくては、新しいものは生まれない」(産経新聞/平成28年 日刊26500号)

これは科学の分野だけでなく、ビジネスにも当てはまることだと思います。自分が興味をもてるビジネスでないと、新しいものは生まれません。長続きしないからです。

「好きこそ物の上手なれ」という言葉があります。ビジネスで成功するための秘訣は、この言葉に帰結するのではないかと私は思っています。どんなに能力があっても、好きではないことに力を注いでも長続きせず、成功に至らないケースが少なくないからです。

■ まずは生き残ることが大事

ところで、「まずは生き残れ。儲けるのはそれからだ」という言葉があります。世界一の投資家とも言われるジョージ・ソロス氏が述べたとされる言葉です。ビジネスで成功するためには、まずは「生き残ることが大事」と主張しています。

特許に守られた最新の技術を保持している、誰も参入したがらない市場に位置している、莫大な投資資金をもっているというのであれば、生き残るという守りの姿勢ではなく勝ちにいくべきでしょう。しかし、そうでないのであれば勝つことよりも負けないこと、つまり生き残ることの方がはるかに重要です。

ユニクロを率いる柳井正氏の著書に『一勝九敗』(新潮文庫)があります。タイトルの通り、経営というものはせいぜい1勝9敗程度です。1割の勝ちを得るためには、9割の負けを体験しなければならないのであれば、その9割の負けに耐えることが必要です。

これはビジネス以外の分野、たとえば歴史でもよく当てはまることです。織田信長を例に挙げます。

織田信長といえば、桶狭間の合戦で少数の軍勢で大軍の今川義元を奇襲して勝利を収めたことで有名です。この桶狭間の合戦の印象が強いので隠れがちになっていますが、実は織田信長はそれ以外の合戦のほとんどは負けない戦をしかけています。

桶狭間の合戦のような一か八かの戦を仕掛けていません。相手よりも必ず多勢になるときだけしか戦を仕掛けていないのです。大負けしないことを肝にしていました。

織田信長は実は慎重派だったのです。その慎重派の信長でさえも、少しの油断で本能寺の変という大負けを喫してしまったのは歴史の皮肉ではありますが。

いずれにしても、まずは負けないことが大事です。負けずに生き残っていれば必ずチャンスが巡ってきます。そのチャンスが巡ってきたときには、そこは逃さず勝ちにいくべきです。

まずは生き残ることが大事です。儲けるのはそれからです。儲けるためには生き残る必要があります。生き残るためには我慢強くコツコツと経営をしていかなければなりません。

言葉で言うのは簡単ですが、「我慢強くコツコツと経営をする」というのは非常に難しいことです。数ヶ月程度ならともかく、数年という単位でコツコツと経営を行うというのは根性論でできるようなものではないからです。

■ 好きこそ物の上手なれ

好きなことであれば我慢強くコツコツと経営することができます。いや、「我慢強く」という表現は間違っていますね。好きなのだから、我慢して経営しているわけではないからです。

好きだから、たとえ上手くいかなくてもその手綱を緩めることはありません。上手くいかないことも面白いと思えるからです。

経営はよくて1勝9敗程度です。9敗を我慢するのではなく、9敗を楽しめるぐらいでないと成功はおぼつかないといえるでしょう。9敗を楽しんでいるうちに1勝が巡ってきて、気づいていたら成功していたということですね。

好きなことをやり楽しむことが大事です。大隅良典栄誉教授からはそのことを学ばせていただきました。

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