イオンは2017年2月期第2四半期(3~8月期)の最終損益が53億円の赤字と発表しました。前年同期は21億円の赤字で、赤字幅は大きく拡大しました。売上高は4兆1118億円(前年同期比0.9%増)、営業利益は723億円(同0.1%増)です。

総合スーパー事業が深刻です。営業損益が183億円の赤字(前年同期は87億円の赤字)です。他の事業のほとんどが黒字だったため、総合スーパー事業が足を引っ張った形となりました。

イオンの総合スーパー事業の筆頭はイオンリテールです。イオンリテールの8月中間決算の営業損益は86億円の赤字となっています。総合スーパー事業の営業損益の赤字の半分近くをイオンリテールが垂れ流しています。

総合スーパー業態は構造的な問題を抱えています。イオンリテールは3つの部門を中心として構成されています。「衣料」「食品」「住居余暇」の3つです。これらの分野の製品を専門的に扱う専門店と比較すると、売上総利益を稼ぐことができていないことがわかります。

イオンリテールの8月中間期の衣料部門の売上高は1729億円、売上総利益は656億円です。売上総利益率は37.9%で例年とほとんど変わらない水準です。一方、衣料品を専門的に扱うユニクロ(ファーストリテイリング)の売上総利益率は50%程度です。ユニクロに対して大きく劣っています。

住居余暇部門の売上高は2053億円、売上総利益は567億円です。売上総利益率は27.6%で例年とほとんど変わらない水準です。一方、住居関連品を専門的に扱うニトリ(ニトリホールディングス)の売上総利益率は50〜55%程度です。ニトリに対して大きく劣っています。

食品部門の売上高は5329億円、売上総利益は1360億円です。売上総利益率は25.5%で例年とほとんど変わらない水準です。食品部門の売上総利益率は健闘しています。たとえば、食品スーパー大手のライフ(ライフコーポレーション)の売上総利益率は27%程度です。他の食品スーパーの標準は25%程度です。

ここで売上高販管費率を見ていきます。イオンリテールの8月中間期の売上高販管費率は35.8%です。例年とほとんど変わらない水準です。ユニクロは35〜40%程度、ニトリは35%程度です。イオンリテールとユニクロ、ニトリは同程度と考えていいでしょう。一方、ライフは28%程度と低い水準にあります。イオンリテールとライフを比べると、イオンリテールの売上高販管費率の高さが際立ちます。

売上総利益率でみると、イオンリテールはユニクロやニトリに大きく劣ります。売上高販管費率はライフに大きく劣ります。つまり、「衣料」「食品」「住居余暇」の各分野では、総合スーパーは専門店には勝てないことがわかります。

ユニクロは衣料品、ニトリは住居関連品、ライフは食品に特化することでスケールメリットを活かすことができます。大量に製品を製造する、大量に製品を仕入れることで原価を低下させることができます。物流コストや人件費、宣伝広告費などの販管費も抑えることができます。

商品力で比べた場合、ユニクロやニトリなどの専門店と比べてしまうとイオンリテールは見劣りしてしまいます。ユニクロやニトリの製品は「高品質で低価格」というブランドイメージが定着しています。一方、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」で衣料品や住居関連品を扱っていますが、総花的で個別分野でのブランドイメージは強いとはいえません。

食品に関しては、日本では地域に根ざした食品スーパーが強く、全国展開のイオンリテールは劣勢に立たざるをえません。ライフは首都圏と近畿圏に集中して出店しています。ライフに限らず、食品スーパーの多くが地域を限定して出店しています。

イオンリテールの食品部門の売上総利益率は健闘していますが、売上高販管費率が高く営業利益を残すことができていません。販管費は食品部門だけの数値ではありませんが、食品部門の非効率性は容易に想像できます。

たとえば、チラシを配布するにしても、地域を限定した方が効率は高くなります。旬の食材をアピールする場合も地域が限定されていた方が訴求しやすくなります。極論ですが、北海道と沖縄では旬の食材は異なります。また、地域が限定されていた方が鮮度を保った状態で消費者に食品を提供することができます。

総合スーパーの脅威は専門店だけではありません。利便性ではコンビニに劣ります。個性的な製品・サービスが揃う場としてはショッピングモールに劣ります。総合スーパーという業態は今の時代では中途半端と言わざるをえません。

総合スーパーは機能不全に陥っているといえます。新規出店は抑制し、不採算店舗は統廃合していく必要があります。分野や地域を絞っていく必要もあります。抜本的な改革が必要です。イオンの中間決算はそのことを物語っているといえるでしょう。

【店舗をより良くしたい人へ】Facebookで『店舗カイゼン委員会』と検索するとグループが表示されます。『グループに参加』をクリックすると無料で参加できます。店舗をより良くしたい人が集まる新しいコミュニティです。

 icon-arrow-circle-right 詳しくはこちら