「つまり、人類がなし遂げてきた最高のものに触れ、それを自分の課題に取り込むということです。ピカソも、『優れた芸術家はまねる、偉大な芸術家は盗む』と言っています。我々は、偉大なアイデアをどん欲に盗んできました」(スティーブ・ジョブズ I/ウォルター・アイザックソン/講談社)

「アイデアを盗む」という言葉に対して、あまり良い印象を持たない人がいるかもしれません。猿まねのような響きがあり、かっこいいものではないのかもしれません。「アイデアを盗むことなんてしない。自分自身で考えたオリジナルのものを開発して世の中に広めていく」という考えの人もいるかもしれません。それはそれで素晴らしいことだと思います。

可能であれば、オリジナルのものを開発して世の中に広めていくに越したことはありません。ただ、何かを成功させる上で「アイデアを盗む」ということは非常に合理的といえます。

「スマートフォン」を例に挙げます。スマートフォンを一番はじめに開発した企業はアップルではありません。NTTドコモでもありません。グーグルでもありません。マイクロソフトでもありません。

スマートフォンを一番はじめに開発したのは「ノキア」です。1996年にノキアが「Nokia 9000 Communicator」を発表しましたが、これが今のスマートフォンの嚆矢といわれています。(このときはまだ「スマートフォン」という言葉は存在していません)

しかし、スマートフォンを最初に開発した企業がノキアということを多くの人が知りません。スマートフォンで優勢な企業としてもノキアは挙がらないでしょう。

「スマートフォンの代表的な企業といえば?」という質問があるとしたら、多くの人が恐らく「アップル」と答えるのではないでしょうか。アップルは2007年にスマートフォンの「iPhone」を発売しました。iPhoneについてはこれ以上語る必要もないでしょう。

アップルはiPhoneでスマートフォン市場を席巻していきました。しかし、アップルはスマートフォンを最初に開発した企業ではありません。アップルはスマートフォンのアイデアを盗み、改良を加えてiPhoneを開発したのです。

■ アイデアを盗むことは合理的

アイデアを盗むことは非常に合理的です。「アイデアを盗む」という言葉の響きが良くないのであれば、「アイデアを真似る」と言い換えてもいいかもしれません。「真似る」という言葉でもあまり響きが良くないのかもしれません。

「真似る」と「学ぶ」は共に「まねぶ」を語源としているといわれています。「真似る」と「学ぶ」は同じ語源なのです。つまり、「真似る」ということは「学ぶ」ということになります。「学ぶ」であれば言葉の響きは悪くはありません。

「アイデアを盗む」ということは「アイデアを学ぶ」と言い換えることができます。競合他社のアイデアで自社に取り入れることができるものはないか、競合他社から盗めるものはないかといったようにアンテナを張り巡らすことは非常に重要です。どうしても自社にばかり目が行きがちになってしまいますが、外にも目を向けて競合他社の調査をすることが大事です。

しかし、ただ単にアイデアを盗むだけではいずれ限界にぶち当たります。そのときは「プラスα」の付加価値を付け加える必要があります。アップルは「スマートフォン」に付加価値である「デザイン性」を加えてiPhoneをヒットさせました。もちろん、性能や機能が優れているという面もあります。しかし、それ以上に「デザイン性」にこだわったことが消費者に受け入れられたといわれています。

■ スティーブ・ジョブズのこだわりとは?

「かつてジョブズは父親から、優れた工芸品は見えないところもすべて美しく仕上がっているものだと教えられた。これをジョブズがどれほど突きつめようとしたのかは、プリント基板の例を見るとよくわかる。チップなどの部品が取り付けられたプリント基板はマッキントッシュの奥深くに配置され、消費者の目には触れない。そのプリント基板でさえジョブズは、美しさを基準に評価したのだ。いわく、その部品はすごくきれいだ。いわく、あっちのメモリーチップはみにくい、ラインが密すぎるーと」(スティーブ・ジョブズ I/ウォルター・アイザックソン/講談社)

スティーブ・ジョブズは消費者が見ない部分にまでデザイン性にこだわりました。デザイン性を大きな付加価値にしようとしていたことがわかります。私が初代iPhoneを購入した時、裏面のステンレスがまるで鏡のように綺麗で、そのデザイン性に驚いたことを強く記憶しています。その後のiPhoneシリーズにもデザイン性の高さは継承されています。

いずれにしても、まずは「アイデアを盗む」ことが大事です。その上でプラスαの付加価値を加えていきましょう。iPhoneのようなヒット商品が生まれる可能性は飛躍的に高まります。

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