「強い店」というのは経営者や店長以外の従業員がどれだけ育っているのかによって決まると言っても過言ではありません。従業員の人材育成には「権限委譲」が必要です。権限委譲とは、与えられた仕事の目標を達成させるために、従業員に自律的に行動する力を与えることをいいます。

昨今の中小企業に見られる事業承継が上手くいっていない理由として、権限委譲ができていないケースが少なくありません。権限委譲を怠ったことにより次期社長候補が育っていない状態で会社を承継させてしまい、業績が急降下してしまうのです。

また社会問題として、店舗型ビジネスの店長の長時間労働が問題になることがありますが、理由の一つとして権限委譲の不足により従業員が育たないことが挙げられます。部下にやらせるよりも自分でやった方が早く仕事が片付くからという理由で、多くの仕事を店長自身が抱え込んでしまいます。そして、長時間労働を強いられてしまうことになります。

このように、経営者や店長がなんでもやってしまう企業や店舗は非効率的で、のちのち様々な弊害が発生してしまいます。事業承継の失敗、店長の長時間労働の常態化、従業員のモラールの低下、従業員のサービス力の低下、売り上げの低下などです。売り上げや利益にすぐに直結しないからなのか、権限委譲の重要性を理解している人が少ないことに危機感を覚えます。

■ 比較生産費説という考え方

企業の成長や人材育成を実現するためには権限委譲が必要不可欠です。このことは経済学においても立証されています。「比較生産費説」という考え方があります。比較生産費説は国同士の貿易における理論で、各国が外国に対して比較優位にある財を輸出し、比較劣位にある財を自国では生産せずに輸入することで、経済的利益が大きくなるという考えのことです。

少し分かりづらいので、店舗経営に当てはめて考えます。例えば、飲食店において顧客に料理を運ぶ仕事と調理をする仕事の二つがあり、新人スタッフとベテランスタッフの二人がいるとします。

どちらの仕事もベテランスタッフの方が得意でしょうが、ベテランスタッフがその二つを行うことは非効率的です。ベテランスタッフは調理に集中し、新人スタッフは料理を運ぶ仕事に集中することにより、お互いの利益は大きくなります。

飲食店の例と比較生産費説の考え方は同じ構造を持っています。比較生産費説において、各々が得意とすることに集中することにより利益が最大化することが数学的に証明されています。

しかし、実際の経営の現場では、経営者や店長が比較劣位にある仕事(他の人に任せた方がいい仕事)までも手をつけているケースが少なくありません。これは非常に非効率的で非生産的です。もちろん、逆に経営者や店長が殆ど仕事をせず、部下に過剰に仕事を押し付けることも問題です。

■ 役割分担が大事

いずれにしても、経営者や店長がやるべき仕事の範囲を明確にし、比較劣位にある仕事を部下に行ってもらうために、計画的に権限委譲を進めていくことが必要となります。権限委譲にはリスクが伴いますが、そのリスクを引き受けることもリーダーには求められます。

部下を育てることはリーダーの責任です。部下を育成していく上で避けて通れないのが権限委譲です。権限委譲を行う上で大事になるのが、経営者や店長の意識改革です。経営者や店長が「全てをやらない」と決意することが大事です。

責任感から多くの仕事を背負ってしまうことが少なくありません。責任感をもつことは素晴らしいことですが、その責任感が行き過ぎてしまうと、キャパシティオーバーになってしまいます。

人に任せる勇気も大切です。人に任せることを悪いこと(無責任である)と捉えてしまいがちですが、人に任せることは経済学的にも理にかなっている行為です。罪悪感は捨て去りましょう。

【無料メールマガジン】メルマガ「売上倍増戦略講座」が無料です。

下記フォームからお申し込みください

 

空メールでも登録できます