飲食店チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」の北習志野店(千葉県船橋市、閉店)で、アルバイトの男子大学生に暴行を加えたとして、千葉県警は11月28日、元従業員の男性を逮捕したと報じれられました。

報道によると、男子大学生は今年6月、逮捕された男性やその妻の女性店長から、この店で4カ月間無休で長時間働かされた上、包丁で刺されたり、首を絞められたりしたとして、千葉県警に告訴状を提出していました。

ブラックバイトを巡る訴訟は全国初とみられ、注目が集まっています。男子大学生は、左肩に包丁傷の痕が残っている、アルバイトの拘束で15年度前期は大学にほとんど通えていない、客からの注文を取れなかったとして10回以上にわたり計23万円を払わされた、といったことを主張しているようです。常軌を逸しています。男子大学生が感じた恐怖は想像に難くありません。許されることではありません。

■ 増える「ブラックバイト」の実態

労働組合「ブラックバイトユニオン」には、こうしたブラックバイトによって学生生活を脅かされた例が次々に報告されています。勝手にシフトを組まれた、販売ノルマを達成できなかった場合に自腹で買い取りを要求された、発注ミス分の代金を自費で負担させられた、「バカ野郎!」と罵倒された、残業代が支給されなかった、長時間労働を強要させられた、といったトラブルが後を絶たないようです。学生という弱い立場につけこんだ悪質なトラブルといえるでしょう。

それにしても、弱い立場にある学生に無理を強いることでしか業績を上げることができないのでしょうか。強い立場にある者が弱い立場にある者を酷使することで生産性を上げることは誰にでもできます。たとえそれで業績が上がったとしても、それはその人個人の「能力」によるものではなく、「立場」がそうさせただけです。むしろ、「私は無能で部下の生産性を上げる術がないから、立場にものをいわせて無理やり生産性を上げた」と言っているようなものです。無能を主張しているだけといえます。

視点を変えて考えてみると、暴行を加えた元従業員の男性や妻の元店長に「部下のモチベーションを上げることで生産性を上げる」という考えがなかったことが残念で仕方がありません。そういった術を知らないがために、暴力や立場に頼ってしまったのでしょう。

ところで、男子大学生に暴行したとされる元店長自身も8カ月間、休み無く働いていたとみられています。「ブラックの連鎖」が続いていたことが明るみになりました。「自分がしたことは他人にしてもよい」という意識が働き、劣悪な労働環境が増幅していきました。これは組織的な問題といえます。このように考えると、末端の一部の問題ではないといえるでしょう。

■ 組織的に「ブラック」が蔓延しているのか

今回の問題が起きた「しゃぶしゃぶ温野菜」はレインズインターナショナルが展開するしゃぶしゃぶ食べ放題の飲食店業態です。レインズインターナショナルは焼肉レストランチェーン「牛角」など飲食店を多角的に展開していることで知られています。

今回の問題が起きたのは、「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」をフランチャイズ運営する「DWE Japan」のフランチャイズ店です。暴行を加えた元従業員や妻の元店長個人に起因する特殊な問題という部分もありますが、一方で組織的な問題と考えることもできます。暴行を加えた元従業員の男性や妻の元店長を管理監督する義務が「DWE Japan」にあったからです。

さらに、「DWE Japan」はレインズインターナショナルのフランチャイズ契約先とはいえ、「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」といった共通のブランドを共有する企業群に2社は所属します。レインズインターナショナルにとって、他人事では済まされない問題といえるでしょう。特に今の時代はSNSなどで瞬く間に情報は拡散されます。ブランドの毀損や業績悪化に直結する問題となります。一店舗での問題では済まされません。

■ 「ブラック」問題の解決は「教育力」が鍵となる

さて、ブラックバイトやブラック企業の問題を考える上で、企業の「教育力」についての考察を外すことはできないでしょう。今回の事件は、倫理的な意識の問題に加えて「従業員の生産性を上げる方法」を知らなかったことに大きな問題があると考えることができます。教育力の欠如が露呈しました。従業員に体系的に仕事の仕方を教える「教育力」が企業に問われます。企業に教育力があれば、今回の暴行事件は発生しなかったといえるでしょう。

今回の事件を個人の特殊性だけの問題にしてはならないといえます。「ブラックは許してはならない」といった倫理上の教育に加え、組織全体で健全な生産性の向上を実現させるための教育が必要です。

20世紀初頭まで、企業では非効率な生産や組織的怠業が蔓延していました。立場や示威といったその場しのぎの管理がなされていました。そういった問題を解決するために、フレデリック・W・テイラーは体系的な観察と研究により、サイエンティフィック・マネジメント(科学的管理法)を確立しました。テイラーの科学的管理法により、次第に企業の生産性は向上し組織的怠業は減っていきました。体系的な教育が行われるようになったのです。

今は21世紀です。昔ながらの現場任せの非体系的な組織運営がなされていることに驚きを隠せません。従業員を生かすも殺すも企業の教育次第です。そしてブラック問題の解決も企業の教育次第といえるでしょう。「教育力」が問われます。

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