「従業員が定着しない」「採用してもすぐに辞めてしまう」「少し厳しくしたぐらいですぐにやる気を失ってしまう」「従業員のモチベーションが上がらない」

こういった従業員に対する悩みを抱える店舗経営者や店長、幹部社員は少なくないと思います。従業員の確保が難しくなっている昨今、優秀な人材やポテンシャルのある人材は大手企業に流れてしまい、中小企業や小規模企業での人材の活用と確保は年々難しくなっています。

時給だけを考えても、大手企業は高額の時給を提示できますが、中小企業や小規模企業では大手ほどの時給を提示することは難しい状況です。そうなると、仕事のやりがいや職場環境の良さといった点で差別化を図り、応募者や既存従業員が働きたいと思うことができるものを提供していかなければならなくなります。

■ 「組織の3要素」とは

ところで、組織が成立するための条件として「組織の3要素」というものがあります。組織の3要素は、「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つのことです。電話会社社長を務め、経営学者でもあるチェスター・バーナードが提唱しました。

組織の目的や目標が明確で、組織の構成要員である従業員が組織に対して貢献しようという意欲があり、組織の構成要員間で十分なコミュニケーションがとられていることが大事であるとしています。

従業員のまとまりが悪い場合、組織の3要素のどこかに問題があります。共通目的がないのか、貢献意欲がないのか、コミュニケーションがないのかを考察する必要があります。

■ 共通目的

まずは、「共通目的」について考えます。組織の目的や目標を全従業員が共有できているかが問われます。例えば、今現時点で全従業員に「私たちの共通目的とは」と問いかけて、全員が一致して「◯◯です」と答えられるかどうかです。

全従業員が一致して答えることができれば問題はありません。もし答えられそうもないのであれば、もしくは聞いても答えられないのであれば、組織に共通目的がないことになります。

組織の目的や目標は全従業員で共有する必要があります。「目的や目標は伝えているが、どうも理解が深まっていない」と思っている方もいるでしょう。もし1度や2度程度しか伝えていないのであれば、それは不十分といえます。

目的や目標を「共通目的」に高めるには、何十回何百回と伝えていく必要があります。ポイントは「量」にあります。思いを込めたり強制力を伴って伝えることで「質」を高めることも大事ですが、この場合は「質」よりも「量」が重要です。口が酸っぱくなるまで繰り返し組織の目的や目標を伝えていきます。伝える回数、つまり「量」をこなすのです。

朝礼や中礼、終礼、全体ミーティーング、個人面談、日々の会話などのあらゆるシーンで組織の目的や目標を伝えます。繰り返し伝えることで従業員は伝達者の本気度を感じ取るようになります。伝達者が本気であると従業員が感じ取って初めて「共通目的」となるのです。繰り返し、組織の目的や目標を伝えていくことが大事です。

■ 貢献意欲

次に、「貢献意欲」について考えます。組織の構成員である従業員が組織に対してどれだけ貢献したいと思っているかが問われます。

従業員の貢献意欲を高めるには一つの大前提があります。それは、「誘因≧貢献」の状態が保たれているということです。ここでの誘因とは、給与や評価、職場環境といった組織から得られる価値のことをいいます。

中小企業や小規模企業が「給与」で報いるのは、大手企業と比べた場合難しい面があることは先に述べました。一方、「評価」は改善できる余地が大きいといえます。

従業員は適正に評価されたいと思っているものです。しかし、これはなかなか難しい問題です。公平で正しい評価を行うことは非常に難しい問題です。評価者の力量に依存するからです。一朝一夕ではいかない問題です。

ただ、比較的簡単に「評価」において改善できることがあります。それは、評価の「回数」です。きちんとした評価が行なわれている組織では、評価の回数が多い傾向にあります。

これは、人事考課以外の評価も含めての話です。評価は何も人事考課だけではありません。日々のコミュニケーションにおけるフィードバックも評価の範疇にあります。

例えば、プロジェクトや販売キャンペーンなどで個別に行っているフィードバックなども評価に含まれます。「◯◯さんはこのプロジェクトに対してこのような点で貢献していて組織に良い影響を与えている」といったようなフィードバックが該当します。

人事考課は最低でも四半期には一回、可能であれば毎月、全従業員に行うべきでしょう。フィードバックによる評価は毎日行うべきです。貢献意欲の高い従業員がいる組織はこの評価の回数が圧倒的に多いのです。

「誘因」という意味では「職場環境」も大事です。休憩室に電子レンジがある、自動販売機がある、個人ロッカーがある、備品がいつも揃っている、クリスマスにはケーキを振る舞うといった些細なことを軽視しないことが重要です。こういった気遣いがある職場は人間関係が良好になります。そして、良い職場環境が構築されていきます。

従業員の「貢献意欲」を引き出すには何よりもまず「誘因」が大事です。金銭的、物質的、心理的、社会的な側面において魅力的な誘因を提供していきましょう。「誘因≧貢献」の状態を保ちましょう。従業員の「貢献意欲」は高まります。

■ コミュニケーション

最後に、「コミュニケーション」について考えます。いくら共通目的を従業員が自覚し、貢献意欲に満ち溢れていても、各自がバラバラに行動していては組織がまとまりのないものになってしまいます。

バラバラに分散しているものを統合し、有機的に組織を動かし、共通目的と貢献意欲をつなぎ合わせるために必要となるのが「コミュニケーション」です。

共通目的を達成させるために、誰が何をいつまでに何処でどうやって行うのかといった情報の伝達としてのコミュニケーションを行う必要があります。意思疎通を円滑に行うためにコミュニケーションは必要不可欠といえるでしょう。コミュニケーションが円滑に行われていれば、構成員の貢献意欲も高まります。

ところで、組織におけるコミュニケーションで見落としがちなポイントが一つあります。それは、「ボトムアップ」です。ボトムアップとは、下層から意見を吸い上げて全体をまとめていく管理手法のことです。つまり、下層からのコミュニケーションを活性化させるということです。

このボトムアップが上手く機能していない組織は多く見られます。ボトムアップの逆であるトップダウンは多くの組織で行なわれているのとは対照的です。

トップダウンを行わなければ組織はそもそも運営できないため、トップダウンはどこの組織でも行われています。逆に、ボトムアップは行われていなくても組織は運営できてしまいます。

上層から命令が発せられればとりあえず組織は動きます。ただし、「有機的に」となると話は違ってきます。有機的に組織を運営していくにはボトムアップが必要不可欠です。理由は2つあります。

一つは、消費者の嗜好についての情報、商品・サービスの動向情報、現場のトレンドについての情報といった貴重な情報源に接することができるのが下層の従業員だからです。

そういった貴重な情報を吸い上げ、商品開発やマーケティング戦略の立案、組織戦略の立案などの参考にするためにも、ボトムアップはなくてはならないものになります。

もう一つは、貢献意欲を高めるためです。組織が下層に行けば行くほど仕事がルーチンになってしまう傾向があります。仕事がマンネリ化しやすく、モチベーションを維持することが難しくなります。ましてや貢献意欲と呼べるまでに高めることは至難の技です。

人間は誰しもクリエイティブな仕事、自分にしかできない仕事をしたいと思うものです。その気持ちを汲み取ることができるのがボトムアップです。下層から意見を吸い上げるのです。

自身が感じる意見を述べるということはクリエイティブそのものであり、自身にしかできない仕事に他なりません。従業員のクリエイティブを発揮させるための仕組みが必要であり、それがコミュニケーションに他なりません。

有機的に組織を運営するにはボトムアップが必要です。ボトムアップができている組織は強いといえます。上層からのコミュニケーションだけでなく、下層からのコミュニケーションも円滑に行われるように促していく必要があるのです。

■ 組織を「組織の3要素」の視点から見直す

さて、組織が成立するための条件である「組織の3要素」について考えました。組織に「共通目的」「貢献意欲」「コミュニケーション」の3つがあるかどうか確認しましょう。

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