店のクリンリネス(清潔さ)の状況の良し悪しは集客に直結します。清潔な店に人は吸い寄せられていきます。清潔ではない店からは離れていってしまいます。

セブン-イレブンを立ち上げた鈴木敏文氏は著書『商売の原点』(鈴木敏文著/講談社)で、小売業において絶対に徹底させなければならない基本原則が「品ぞろえ」「鮮度管理」「クリンリネス」「フレンドリーサービス」の4つであるとし、クリンリネスの重要性を説いています。もちろん、これは小売業に限ったことではないでしょう。

クリンリネスの重要性は「割れ窓理論」から理解することができます。割れ窓理論とは、建物の窓が割れているのを放置していると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓も全て割られてしまうという考えのことです。

割れ窓理論で考えると、店にある小さなゴミや汚れの放置はやがて大きな問題に発展していきます。一つのゴミが二つ目のゴミを呼びます。ゴミがゴミを呼び、増幅していきます。不衛生な状態が拡大していきます。そうなれば、顧客は次第に離れていってしまいます。

■ かつてのニューヨークの地下鉄が割れ窓理論の典型例となる

割れ窓理論の典型例を示します。1990年代のニューヨークの地下鉄についての話です。今とは違い、当時のニューヨークの地下鉄では重犯罪が毎日のように発生し、ゴロツキがうろつき、車内や構内は落書きやゴミで満ち溢れていました。初期の小さな犯罪や荒廃を過小評価したため、犯罪や荒廃が増幅していったのです。

ニューヨーク市民は地下鉄を利用したくても利用できない状況にありました。その窮状を警察に訴えても警察官の動きは鈍く、何も改善されない状況が続いていました。

しかし、ある人物が市警本部長に任命されると事態は一変しました。市警本部長は地下鉄での犯罪や迷惑行為を徹底的に取り締まるよう指示しました。地下鉄公団と協力し、落書きやゴミを徹底的に排除していきました。結果、犯罪は激減し、美観は取り戻され、ニューヨークのシンボル的存在にまで発達するようになったのです。小さな犯罪や荒廃を許さず、小さな芽を摘んでいったことが功を奏しました。

ところで、先の市警本部長はどのようにしてニューヨークの地下鉄を改善させたのでしょうか。まずは、市警の最高幹部や中級幹部に連日連夜、地下鉄に乗車させるようにしました。もちろん、市警本部長自身も地下鉄に乗るようにしました。それまでは、市警の幹部は地下鉄にあえて乗車していなかったからです。市警の幹部は次第に危機感を覚え、状況に対して真剣に向き合うようになりました。

「ニューヨークの地下鉄の例」と「店のクリンリネス」は「割れ窓理論」の観点から同様に考えることができます。ニューヨークの地下鉄の例から分かる通り、店の集客を実現する上でクリンリネスは決定的に重要です。

クリンリネスの徹底は店の経営者や上層部の意識改革が大事です。経営者や上層部が率先してゴミを拾うといった清掃行為を行うといいでしょう。ニューヨーク市警の例が示す通り、「現実の直視」と「率先垂範」が重要といえます。

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