「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」などを手がける「俺の株式会社」は、一流の料理人が高級食材を使ってつくり上げる料理にもかかわらず、リーズナブルな価格で提供することで一世を風靡しました。

価格は高級店の2分の1、3分の1程度です。リーズナブルな価格にもかかわらず、同社では「原価をじゃぶじゃぶかけていい」としているので、原価率は業界平均よりも高くなっています。

俺のイタリアンでは原価率40%以上、俺のフレンチでは原価率60%以上にもなると言われています。一般的な飲食店の原価率は30%程度なので、俺の株式会社の原価率の高さは突出しているでしょう。

原価率が高いため利益が少なくなってしまうようにも思えますが、回転率を高めることで利益を確保することができています。「平均フード原価率60%を超えても、1日3回転以上させることで利益を出せる」と同社は考えています。

ミシュラン3つ星級のレストランでは、1日1回転でフード原価率が18%程度と言われています。俺の株式会社は常識外の損益構造で事業を確立させているといえます。

基本的に原価率は低ければ低いほど良いとされます。原価率が低ければ売上総利益率(粗利益率)が高くなるからです。一方、原価に投資することで付加価値のある商品・サービスが提供できるのであれば、ある程度の原価率の上昇は必要経費とみなすこともできます。ただし、あくまで「付加価値がある」ということが大前提となります。

■ 原価はセールス・ミックスで考える

原価について考える場合、「セールス・ミックス」の概念を外すことはできません。セールス・ミックスとは、複数ある製品の生産量や販売量の組み合わせのことをいいます。

俺の株式会社ではセールス・ミックスの考え方を取り入れて損益構造をコントロールしています。ドリンクの原価率は35%程度でフードと比べて抑えられているので、フードに原価をじゃぶじゃぶかけてもトータルでは利益を確保できる構造となっています。

セールス・ミックスでは、売り上げを上げる商品・サービスと利益を確保する商品・サービスの二つに分けて展開することが基本となります。場合によっては、売り上げと利益を度外視して、集客するためだけの商品・サービスを展開する場合もあります。

いずれにしても大事なのは、個別の原価と販売数を考慮し、セールス・ミックスで全体の原価率をコントロールすることです。ざっくりと目標原価率を設定するのではなく、単品単位で原価率を把握することが大事です。

セールス・ミックスにおいて大事なのが「販売数量」です。例えば、原価率が高い商品・サービスが事前計画よりも販売数量が伸び、原価率が低い商品・サービスは伸びなかった場合、トータルでは原価率は上昇してしまいます。そのため、販売する商品・サービスそれぞれの予測販売数量の精度(需要予測)が重要となります。

原価率は適正にコントロールする必要があります。ざっくりと管理するのではなく、単品単位で正確に進捗管理していきましょう。適切なセールス・ミックスが重要です。

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