時間貸し駐車場「タイムズ」を代表とした駐車場事業を営むパーク24は、駐車場事業の収益の最大化に向けて「管理・運営台数の拡大」と「駐車場の収益力の向上」の2つの戦略を掲げて成長しました。

パーク24は、都市部を中心に存在する遊休地に着目し、遊休地を駐車場として有効活用するビジネスモデルを構築しました。土地を購入したがその活用方法を決めかねている土地オーナーから土地を賃借し、用地提供を受けて駐車場を整備しました。

遊休地は放置しておくと固定資産税がかかり続けます。一時的にアパートやマンションを建てる場合は売却時にコストや手間がかかります。そのため、土地オーナーは土地をパーク24に賃貸することで安定的な収入が得られる上に、用途が決まった際はコストや手間が少なく済むというメリットがあります。

一方、地価が高い日本では慢性的に駐車場不足が続いています。2006年6月に道路交通法が改正され駐車違反の取り締まりが強化された結果、都市部を中心に駐車場需要が一気に高まりました。さらに、地方においても駐車場需要が広がりをみせていきました。

地価が高い日本において、土地を購入して駐車場運営を行うことはリスクの高いビジネスです。そのため、広域展開するのは資本力を有する一部の大手に限られていました。しかし、パーク24は「遊休地」に着目することで土地購入のリスクを回避し、大手の間に割って入ることができたのです。

■ 営業員のドブ板営業が強み

パーク24の最大の強みは営業力です。約400名の営業員が足を使って地道に遊休地を探しています。不動産屋から土地オーナーを紹介してもらうことでも遊休地を探すことはできますが、不動産屋に声をかける土地オーナーは転売する意識が高く、長きにわたって駐車場として土地を貸してくれる人は多くありません。

そこで、地道に街を歩いて遊休地を探し、不動産屋に登録していない土地オーナーとは直接交渉するという、まさにドブ板営業を展開しています。このように、街にある遊休地を片っ端から探し、遊休地を駐車場に変えていくことで、同社は急成長を遂げることができたのです。

しかし、同業他社が追随するようになり競争が激化しました。次第に単なるドブ板営業だけでは顧客を開拓できなくなりました。そこでパーク24は提案型の営業を強めることにしました。

土地オーナーとしては、継続して賃貸収入を得たいので駐車場がすぐに潰れてしまっては困ります。そのため、駐車場ビジネスが長期的に成り立つことを理解してもらうことが重要になります。営業員には提案力が求められるようになりました。

需要はどれだけあるのか、適切な駐車台数は何台なのか、トラブルは発生しないのかといった土地オーナーが抱く懸念に対して、営業員は論理的なデータを提供して払拭することが求められました。

■ TONIC(Times Online Network & Information Center)

提案営業では、駐車場経営が長期的に成り立つことを土地オーナーにデータをもって示す必要があります。その根拠となるデータ作成において大きな力となったのが、2003年に導入した「TONIC(Times Online Network & Information Center)」です。

TONICは全国のタイムズ駐車場の自動精算機と情報センターを無線ネットワークで結んだオンラインシステムです。駐車場利用者は駐車場の位置情報、満車・空車情報などをリアルタイムで検索し閲覧することができます。クレジットカード、ICカードを使った決済が可能です。

また、コールセンターや管理メンテナンスを直結させることにより、機械の故障や不正駐車、トラブルの対応を24時間・365日行うことができます。駐車場利用者は安心して利用することができ、土地オーナーは安心して運営することができます。

タイムズ駐車場は無人駐車場のため、問題が発生した際は即座に対応できないというデメリットがあります。そのため、TONICを導入することで、リアルタイムで保守・点検を行えるようになったため、無人でも安心して運営できるようになりました。駐車場利用者に対しては、コールセンターを導入することで利用方法に困った時やトラブルが発生した際に迅速に対応できるようになりました。

土地オーナーに対しては、稼働状況や顧客属性といったマーケティングデータを提供しています。パーク24は入会金・年会費無料の会員制ポイントプログラム「タイムズクラブカード」を発行しています。これにより、会員がタイムズ駐車場をいつ、どこで、どのように利用したかなどの情報を収集することができます。この膨大な顧客データを利用して、サービスの改善や提案営業に役立てることができるのです。

パーク24は土地オーナーに対してマーケティング情報を提供することで関係性を強化することができました。しかし、土地オーナーは中期的には土地を駐車場から他の用途に変更してしまうことも少なくありません。

■ タイムズパートナーサービス(TPS)

そこで、パーク24が注力しているのが、商業施設や金融機関、スーパー、飲食店、病院、ホテル、行政施設などの駐車場管理を受託する「タイムズパートナーサービス(TPS)」です。TPS導入施設側としては、パーク24の駐車場管理サービスを享受することができます。

TPSは銀行の来客用駐車場から始まったサービスです。TPSを導入する前は、銀行は駐車場を有効活用できていませんでした。銀行の利用者は銀行の営業時間内しか駐車場を利用することがないので、営業時間外の駐車場は遊休状態となっていたからです。また、不正駐車の問題や深夜に若者がたむろするといった問題もありました。

パーク24はこうした状況に目をつけ、銀行の営業時間外において一般ドライバーが駐車場として利用できるサービスとしてTPSを開発したのです。

通常、駐車場を運営管理するには少なくないコストがかかりますが、TPSを導入することで運営管理コストを低く抑えることができます。ほとんどの場合において導入コストはかかりません。タイムズ24が負担するからです。立地が良ければTPS導入施設にパーク24が賃料を払うこともあります。

さらに、TPSを導入した施設には「タイムズクラブカード」のマーケティングデータを活用できる「タイムズマーケティングサービス」を無料で提供しています。

TPS導入施設はタイムズマーケティングサービスにより、車で来場した顧客の年齢、性別、居住地などのデータを手に入れることができます。チラシ配布等の販促や宣伝広告でデータを活用することができます。TPS導入施設としてはメリットが非常に大きいため、長期的な契約になることが多いといいます。

■ タイムズカープラス(TCP)

パーク24は駐車場以外にも事業を広げています。その一つが、カーシェアリングサービスの「タイムズカープラス(TCP)」です。カーシェアリングサービスとは、登録を行った会員間で特定の自動車を共同使用するサービスのことです。

レンタカーに近いシステムですが、レンタカーよりも短時間の利用が可能で、15分単位から利用できます。1、2時間の利用では、レンタカーよりも割安になるような料金体系であることが一般的です。

街中や商業施設のタイムズ駐車場に専用車両を配置することで、24時間車を提供することができます。1箇所のタイムズ駐車場で予約がいっぱいでも、近隣のタイムズ駐車場を探して空きがあれば借りることができます。TCPはタイムズ駐車場を全国各地に擁しているパーク24ならではのサービスといえるでしょう。

シェアする車は、2009年にマツダレンタカー(現タイムズモビリティネットワークス株式会社)をグループ化したことにより、充実したラインナップを実現しています。

パーク24は駐車場事業を中心として大きく成長しました。それでも、駐車場の供給は追いついていないといいます。また、車のあり方も大きく変わっています。若者を中心とした車離れが指摘されていますが、一方でカーシェアなどの新しい車のあり方が誕生しています。パーク24の存在感はますます強まっていきそうです。

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