トヨタ自動車の製品開発の一端を見ていきます。

MM総研が2013年に行った調査によると、「環境対策に注力している企業」を尋ねたところ、トヨタ自動車が断トツトップの24.8%の支持を得ていることが分かりました。2008年の調査開始から6年連続でトップとなりました。

同社を挙げた理由としては「ハイブリッドカー(プリウス)を販売している」という意見がほぼ全てを占めています。トヨタ自動車といえば環境対策に力を入れている企業というイメージが定着しました。しかし、それまでの道のりは決して平坦ではなく、今日に至るまでおおよそ20年以上の年月を要しています。

化石燃料から排出される二酸化炭素が温室効果ガスとなり、地球温暖化の問題が世間で囁かれるようになったのが1990年代初頭です。そうした状況下、1993年に「21世紀の自動車には何が求められていくのか」という議論がトヨタ自動車内で生まれました。

トヨタ自動車は「G21プロジェクト」を発足させました。当初は「燃費性能を1.5倍に引き上げる」目標を掲げました。しかし、上層部からは「燃費性能を2倍にするように」という目標が提示され、さらに高いハードルが示されました。

こうして開発されたのが「プリウス」です。プリウスは、エンジンとモーターの二つの動力源を持ち、発進から低速域までは電気モーターを使用し、その後はエンジンが始動する仕組みになっています。この仕組みにより燃費性能を向上させることに成功しました。

1997年12月に、世界初となる「量産ハイブリッド自動車」としてプリウスが市場に投入されました。地球温暖化防止京都会議で京都議定書が採択されたのが1997年12月です。世間でも地球温暖化問題が大きくクローズアップされた時期に投入したことで大きな話題を呼びました。

さらに、プリウスを発売する1年前に、「TOYOTA ECO PROJECT」を立ち上げました。「あしたのために、いまやろう。」をスローガンとし、トヨタ自動車が環境問題に取り組む企業であることを大々的にアピールしました。このころから、トヨタ自動車は地球環境問題に積極的に取り組む企業というイメージが急速に広がっていったのです。

環境に優しい自動車の開発は製品開発の一つの例にすぎません。ただ、このことからわかるのは、トヨタ自動車は一企業の枠を超えて、業界全体、さらには世界全体を見据えた製品開発を行っていることです。業界の課題や世界の人々の課題の解決を含めた自動車の開発を行っているといえます。

■ トヨタ生産方式

トヨタ自動車の生産体制を見ていきます。

昔から言われているトヨタ自動車の強さの秘密の一つとして、「トヨタ生産方式」が挙げられます。トヨタ生産方式では、ムダを「付加価値を高めない各種現象や結果」と定義しています。

トヨタ生産方式でまず挙げることができるのが「ジャストインタイム(JIT)」でしょう。JITとは、「すべての工程が、後工程の要求に合わせて、必要なものを、必要なときに、必要な量だけ生産(供給)する生産方式である。その狙いは、作りすぎによる中間仕掛品の滞留、工程の遊休などが生じないように、生産工程の流れ化(スムーズに流れること)と生産リードタイムの短縮にある。ジャストインタイムを実現するためには、最終組立工程の生産量を平準化すること(平準化生産)が重要である。ジャストインタイムは、後工程が使った量だけ前工程から引き取る方式であることから、後工程引取方式(プルシステム)ともいう JIS Z 8141-2201」とJISで定義されています。

JITにより工程間の仕掛在庫を最少に抑えることができるので、ムダな在庫を抱えること無く生産体制を維持することができます。また、調達部材も最少に抑えられ、在庫費用と発注費用が抑えられるので、総費用を抑えて経済的発注量を維持することができます。

JITには「かんばん方式」を利用しています。かんばん方式とは、「トヨタ生産システムにおいて、後工程引取方式を実現する際に、かんばんと呼ばれる作業指示票を利用して生産指示、運搬指示をする仕組みである。生産指示するための生産指示かんばんと、運搬指示するための引取かんばんの2種類に大別する JIS Z 8141-2203」とJISで定義されています。

後工程が必要とする品物を、必要なときに、必要な量だけを引き取ることにより、ムダな生産や発注を抑えることができます。かんばん方式により、リードタイムが短くなり、生産性が向上します。また、製造プロセスの改善努力が促進されることにより、不良品の発生が抑制され、顧客サービスの向上にもつながっています。

かんばん方式を導入することは簡単なことではありませんが、導入が成功すれば、大きな効果を得ることができます。

次に「自働化」を挙げます。自働化とは、機械設備の異常(不良)発生時に自動停止させムダと異常を顕在化させるシステムのことです。

不良品を作り続けることを防止する仕組みで、二度と同じ異常が発生しないように真に原因を究明して徹底的な対策を施します。「あんどん」という「ラインストップ表示板(ランプ)」を使用して、「目で見る管理」を行うことが特徴です。

こうしたトヨタ生産方式の確立により、トヨタ自動車の生産性は飛躍的に向上したのです。

トヨタ自動車はこれら以外でも様々な施策を講じています。全体を見て言えるのは、効果があるものは徹底して突き詰めて生産性と効率性を高める努力をし、効果がないものは選択と集中を行って捨て去る柔軟な対応をしているところにあります。他の業界でも通じる哲学が隠されているといえそうです。

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