ザ・リッツ・カールトンは、1世紀前にセザール・リッツにより確立されたホスピタリティ精神を継承したホテルグループです。満足を超えた「感動」を提供することで上流階級を中心に高い評価を得ています。

質の高いサービスとその基礎となっている企業理念は世界中の人々から高く評価されています。卓越した功績と品質向上を実現したアメリカ企業に授与される「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞」をホスピタリティ業界で唯一受賞しています。通算で2度の受賞です。

リッツ・カールトンは顧客サービスについての数多くの「神話」を生み出していることで有名です。1つの例を紹介します。

アメリカ・カリフォルニア州の海辺にあるリッツ・カールトンで、従業員が一人の若い男性から椅子を貸して欲しいと依頼されました。理由は、その男性が海辺で彼女にプロポーズするためです。

そこでその従業員は自身の判断でタキシードに着替え、浜辺に椅子とテーブルを用意しました。テーブルの上には一輪の花と高級シャンパンを用意しました。さらに、テーブルの傍らにはハンカチを用意しました。涙を拭けるように。

こうした「感動」を生むホスピタリティ精神溢れるサービスが評判となり、リッツ・カールトンの名声は瞬く間に世界に広がりました。そして多くのファンを獲得できるようになりました。

■ リッツ・カールトンが誕生するまで

リッツ・カールトンの歴史は、「ホテル王」と呼ばれるようになったセザール・リッツが生まれたことから始まります。

セザールは若かりし頃、ヨーロッパにある数多くのホテルでホテルマンとして働いていました。一流のホテルマンとして、宿泊客のニーズをいち早く察知し、そのニーズを超えるサービスを提供しました。そして多くのファンを獲得していきました。ホテルマンとして経験を積んだ後、セザールはモンテカルロのグランドホテルの支配人になったのですが、わずか1年で収益を倍増させることに成功しました。

セザールは宿泊客の不満を解消することに全力を尽くしました。例えば、トイレや風呂が各階に2、3しかなかった時代において、ホテル業界では初めてとなる、全ての部屋にトイレとバスタブを完備することを実現させました。

また、娯楽の少なかった時代だったため、ホテルでイベントを開催するなど、宿泊客を飽きさせない工夫を怠りませんでした。このように、宿泊客の不満を積極的に解消し、他のホテルには無いサービスを展開したのです。

こうした経験をもとに、セザールは自分が理想とするホテルをつくろうと決意しました。パリに「ホテル リッツ」をオープンさせます。

コンセプトは「快適さ、安全性、プライバシー、サービスにおいて、世界中を旅する人々が自宅のようにくつろげるホテル」というものです。そのコンセプトは王族や多くの著名人を引きつけました。故ダイアナ妃が最後に泊まったホテルということで話題にもなりました。

その後、ロンドンに「カールトン ホテル」を開業しました。こちらも多くの上流階級の人々に支持されました。

さらにセザールは「ホテル リッツ」と「カールトン ホテル」で培った洗練された雰囲気や最上級のサービスのノウハウをアメリカに持ち込みました。アメリカでも、リッツの名を冠したホテルが上流階級の人々に受け入れられ、拡大していくことができました。しかし、その途上でセザール・リッツは死去することになります。

セザールは理想を完全に実現することはできませんでした。しかし、その後は未亡人が中心となってセザールの理想の実現を求めていきました。

そうした中で「ザ・リッツ・カールトン」が誕生しました。北米を中心に積極的にチェーン展開していきました。その後、裾野は世界に広がっていきます。日本では1997年に大阪、2007年に東京、2012年に沖縄、2014年に京都にオープンしました。

リッツ・カールトンがここまで成長できたのは、ゼザール・リッツが実現したいと考えた「快適さ、安全性、プライバシー、サービスにおいて、世界中を旅する人々が自宅のようにくつろげるホテル」という理想が世界中の人々に受け入れられたからといえるでしょう。

ウィンストン・チャーチルやマイケル・ジョーダン、ローリング・ストーンズのメンバーなどがそのサービスに感動し、常客として愛顧したといわれています。

■ リッツ・カールトンはホスピタリティ産業

リッツ・カールトンはホテル業というよりも「ホスピタリティ産業」と定義するべきでしょう。「サービス」の語源はラテン語の「servitus」(セルビタス)です。「奴隷」という意味があり、サービスを受ける側が「主」で、サービスを提供する側が「従」となります。

一方、「ホスピタリティ」の語源はラテン語で「hospice」(ホスピス)で、「客人の保護」という意味があります。中世ヨーロッパにおいて十字軍が戦地に赴く際に、沿道の住民が宿や食事を提供し、病人やけが人を看護する施設が「ホスピス」であり、発展して病院(ホスピタル)が誕生し、ホスピタリティへと発展していきました。

ホスピタリティにある考え方は、直接的に報酬を求めるのではなく、おもてなしをすることが喜びであり、結果として報酬がついてくるというものです。

リッツ・カールトンは「モットー」として「We are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen」(紳士淑女をおもてなしする私たちも紳士淑女です)を掲げています。従業員自らが紳士・淑女になることを心がけています。

宿泊客に奉仕しますが、それは奴隷と使用人のような機械的、非情緒的な関係ではありません。誇りと喜びを持った人間的、情緒的な関係であり、紳士・淑女として心からのおもてなしを行っています。

心からのおもてなしを受けた宿泊客は「満足」を超えて「感動」します。「このホテルに宿泊できて本当に良かった」と心に刻むことになり、またリッツ・カールトンに泊まろうと思うのです。

リッツ・カールトンはホテルの設備や料理の質などの面で、他のホテルよりも卓越した資産を数多く抱えています。最高のロケーションからの至高の眺望、優美な調度品をしつらえたラグジュアリーな客室、一流料理人による食材の魅力を最大限に生かした料理があります。その全てがトップクラスに位置しています。

ただし、リッツ・カールトンの神髄は、あくまでも従業員によるサービスにあります。どんなに良い設備や料理があっても、何度も利用が重なるとその良さは顧客の記憶から次第に消えていってしまいます。しかし、従業員が提供する心のこもったサービスによる体験は簡単には薄れることはありません。毎回違った感動のサービスを受けることにより、感動の記憶は宿泊客の心の中でより一層深まるのです。

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