今までのメガネの常識を覆し、機能的でおしゃれなメガネを常時3,000種類以上取り揃え、圧倒的な高品質と低価格を実現したメガネを提供し続ける企業がジェイアイエヌです。メガネチェーン「JINS」などを展開しています。

メガネ市場は混沌としてます。90年代後半に台頭した「SPA御三家」(SPAとは、製造から小売りまでを一貫して行う小売業のこと)と呼ばれる3社の格安メガネ販売店(「JINS」「Zoff」「OWNDAYS」)が市場を席巻しました。低価格メガネの登場で市場は一時期大きな盛り上がりを見せました。しかし、その後は販売競争の激化によりメガネの単価は下落し、メガネ市場は縮小していきました。

低価格メガネの販売競争は、Zoffがレンズとフレーム一式を5,250円、7,350円、9,450円のスリープライスで販売し始めたのが最初のきっかけです。同時期にJINSが5,250円、8,400円で販売し、OWNDAYSがレンズとフレーム一式を4,780円で販売しました。

SPA御三家による低価格路線は市場を席巻しました。多くの消費者が訪れ、増加する来店者に対応するために次々と新店舗を出店していきました。

しかし、低価格路線での競争激化は市場の縮小を招いてしまいました。さらに、表示価格は安いものの、レンズやフレームの選択によって追加料金が発生し、最終的な支払い金額が高くなる仕組みだったため、購入客は価格体系に対して不信感を抱くようになりました。

不信感を抱いた購入客はSPA御三家から次第に離れていきました。SPA御三家だけでなく、メガネ市場全体に対するイメージも悪化しました。低価格路線のブームは早期に収束し、JINSを運営するジェイアイエヌは2008年8月期において最終赤字に転落してしまいました。

ジェイアイエヌは状況を打開するべく、2009年5月に新しい料金体系を導入しました。1万円以下の低価格を維持しつつ、追加料金なしでレンズを選べるようにしたのです。

新しい料金体系を実現するためには原価低減が必須でした。仕入先のレンズメーカーを4社から1社に絞り、仕入れ値の引き下げを図ります。一方、利益を確保するには販売本数を大幅に増やす必要があります。

そこで開発されたのが、2009年9月に発売された樹脂製素材の軽量フレーム「Airframe(エアフレーム)」です。軽くて掛け心地がよく、安全で、デザイン性が高いエアフレームは「軽量メガネ」という新しいジャンルを確立しました。

メガネ店では初となる単一商品でのテレビCMを投入しました。エアフレームは初期ロット7万本を2週間で完売することができました。2011年には「選ばれたメガネ No.1」に選ばれ(楽天リサーチ調べ)、2011年の日経トレンディ・ヒット商品ベスト30にランクインしたほどです。シリーズ累計販売本数は1000万本を超えています。

このエア・フレームの爆発的人気により、JINSの既存店売上高はプラスに転じることができました。ここから業績のV字回復が始まります。

ジェイアイエヌはエアフレームなどの「機能性メガネ」市場に続き、「ファッション性のあるメガネ」市場の掘り起こしを狙いました。ターゲットは若者を中心としたメガネをファッションとして考える層です。

それまでの機能性メガネ市場は、購入者は購入したメガネを大事に使用するため需要の拡大が限定的でした。そこで、ファッション性のあるメガネを開発していきました。TPO(時間、場所、場合)に合わせて複数のメガネを楽しむができるという商品提案を行うことで複数本の購入を促しました。

この新しい試みは成功し、気分や洋服のコーディネートアイテムとして使い分けるという、新しいメガネの使い方を定着させることができました。

エアフレームの次に製品戦略の成功によりヒット商品となったのが、2011年に発売された「JINS PC」です。JINS PCはパソコンやスマートフォンなどのLEDディスプレイから発せられるブルーライト(青色光)をカットする機能があります。

近年、パソコンやスマートフォンの利用人口は増加傾向にありますが、その一方でそうした機器の利用頻度の増加により目が疲れて困る人も増加しました。そういった人たちの不満を解消するという発想でJINS PCが誕生したのです。

JINS PCは多くの消費者に受け入れられ、発売から約1年で累計販売本数は100万本を超えました。日経トレンディの「2014年ヒット商品ベスト30」では6位にランクインしています。

JINS PCのレンズは度が入っているものはもちろん、度が入っていないものも取り揃えています。サングラスとは異なる新しいコンセプトを確立しました。

フレームに関しては、普段メガネをかけない人にも自然に使用できるフレームを開発しています。フレームの中に柔らかい針金を入れることで、使用者自身がフレームの角度を自由に調整できるようにしました。普段メガネを使用しない人でも手軽に使用できるよう工夫しています。

マーケティング戦略は独自の展開を行いました。パソコンやスマートフォンを利用する人たちがメインターゲットのため、当初マスプロモーションは大々的に行わず、ウェブでのプロモーションを徹底的に行うようにしました。

イメージ訴求では、「パソコンするならJINS PC」というメッセージの発信を徹底的に行いました。段階的に、テレビCMや電車内広告などを行っていきました。パソコンを利用する人に絞ってイメージ訴求を行いました。

こうした戦略的なマーケティング戦略とイメージ訴求を展開したことが功を奏し、ITエンジニアなど情報感度の高い人たちから大きな支持を得ることができました。

ジェイアイエヌは新しいメガネを創造し続けています。付加価値の高いメガネを開発し続けることができるかが今後の成長のカギとなりそうです。

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