2017年2月25日付日本経済新聞は「ダスキンは2020年度までに、『ミスタードーナツ』の約4割に相当する500店でドーナツの店内調理をやめる」と報じました。

大きな方針転換です。2015年10月31日付日本経済新聞は「『ミスタードーナツ』を運営するダスキンは30日、店舗の大規模改装に乗り出す考えを示した。店の外からドーナツを調理している様子を見えるようにして、店内への来店を促す。今後5年間で全国1300店のうち最大で1千店舗の改装を目指す」と報じていました。

調理の様子を見えるようにして、集客と売り上げの拡大を図る方針を示していました。ミスドは店内調理による「できたて」が売りです。その売りを最大限アピールするために大規模改装を推し進めていました。それが一転、500店で店内調理をやめる方向です。大規模改装は中止するということになります。

近隣の店舗でドーナツをつくって配送するにしても、できたてと言えるドーナツを提供することは不可能に近いといえるでしょう。このことによる影響は、消費者がどれだけミスドの「できたて」を評価しているかによりますが、ドーナツの売り上げが減ることは間違いありません。

近年はコンビニのドーナツが充実していて競争が激化しています。ただ、コンビニのドーナツはできたてではなく、この点においてミスドは優位性を持っていました。しかし、店内調理を縮小することでその優位性が低下することが必至です。

ミスドの業績は低迷しています。2016年3月期のチェーン全店売上高は前年比10.3%減の915億円です。一過性ではなく、売上高は年々減少しています。店舗数を減らしていることが大きな要因ですが、1店舗あたりの売上高の減少も大きく影響しています。店内調理を縮小することにより、売上高はさらに減少するでしょう。

ただ、ミスドは売上高の減少の問題に加えて利益確保の面の問題も抱えています。ミスドを主力とするダスキンの外食事業の16年3月期の営業損益は14億円の赤字(前年同期は2億円の赤字)です。大規模改装には多額の費用がかかるため、中止しなければ赤字幅がさらに拡大する恐れがありました。利益を考えると大規模改装はできないという判断になったのでしょう。

店内調理を縮小することで調理担当者の人件費を抑えることができます。調理設備を撤去することで、撤去後のスペースを有効活用することもできます。設備のメンテナンスは不要になります。経費を抑え利益を確保することができるようになります。

ただ、売上高が大きく減少してしまうと、こうした経費削減策も無駄になってしまいます。売上高の減少による利益の減少の幅と、経費削減による利益の増加の幅のどちらが広いかの戦いになります。店内調理をやめて「できたて」ではなくなることに対して消費者がどのような判断を下すかにかかっているといえそうです。

【店舗をより良くしたい人へ】Facebookで『店舗カイゼン委員会』と検索するとグループが表示されます。『グループに参加』をクリックすると無料で参加できます。店舗をより良くしたい人が集まる新しいコミュニティです。

 icon-arrow-circle-right 詳しくはこちら