ユニクロを運営するファーストリテイリングは2月28日、世界146カ所のユニクロと取引する主要工場のリストを公開しました。公開することで透明性を高め、人権の保護や労働環境の改善に前向きな企業としてアピールする狙いがありそうです。

同社が取引先工場の情報を公開した背景には、衣料品工場における労働環境の劣悪さに対する世界的な批判の高まりがあります。2013年4月にバングラデシュの首都ダッカ郊外の商業ビルが倒壊し、入居していた衣料品工場の労働者ら1127名が死亡しました。同年12月にはカンボジアの衣料品工場の労働者が賃金引き上げを求めてストライキを起こしました。こうした問題から海外の衣料品工場の労働環境の劣悪さが浮き彫りとなりました。

ユニクロの一部商品を生産するカンボジアの縫製工場では、2015年より工場と一部の従業員との間で労働争議が発生していました。2015年10月にはバングラデシュの取引先工場で長時間勤務と残業代の支払いの問題が発生しました。9月には週あたり最大75時間となる長時間勤務があり、残業代の支払いの遅延も発生していました。

ユニクロの生産活動の約9割は中国、ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、トルコ、インドで行われています。安価な労働力を利用してそういった地域で生産し、日本に製品を送る仕組みです。低いコストの製品に大きな利幅を加えて販売し利益を上げていました。他の衣料品企業の多くが同じような仕組みで収益を上げています。

■ 欧米では工場情報の積極公開が潮流

こうした手法は工場の劣悪な労働環境を生みました。消費者団体を中心に批判が高まり、欧米企業は労働環境の改善や工場の情報開示に動きました。工場の情報公開は、ギャップやマークス・アンド・スペンサー、H&M、ナイキなどがすでに実施しています。

ユニクロは生産管理の手法や製品の素材情報といった機密情報を公開したくないという理由で取引先工場の公開には消極的でした。しかし、情報を公開する世界的な潮流に合わせる形で積極的に公開する方向に舵を切りました。国内における働き方改革の機運の高まりや労働環境が悪い企業というイメージを払拭したいという意向も影響があったと思われます。

ユニクロの動きは他の競合企業にも波及しそうです。労働環境が悪いというレッテルを貼られた企業は生き残ることができないでしょう。ユニクロはコストを削減することよりも、評判を落とさないことを重視する方針に転換を図ったといえそうです。

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