東京ディズニーリゾート(TDR)などを運営するオリエンタルランドが組合員を増やす方向です。2017年3月15日付日本経済新聞は「オリエンタルランドの労働組合は約2万人いる非正規従業員を4月1日付で組合員にする。組合員は現在の約2900人から2万2000人程度に増える」と報じました。

オリエンタルランドの労働組合はOFS(オリエンタルランド・フレンドシップ・ソサエティー)があります。組合員になることで、賃金や労働時間などの労働条件や職場環境を改善するための交渉ができるようになります。

非正規社員を組合員にする動きは広がっていますが、2万人規模での実施は珍しいといえるでしょう。待遇改善を進め、人手不足に対応する狙いがあります。また、従業員の待遇改善に前向きな企業としての評価を得たいという思惑もありそうです。おそらく、後者の方に重点を置いていると思われます。

政府は現在、「働き方改革」を推し進めています。長時間労働や長時間の残業といった悪しき慣習が生産性の低下の原因になっていると考え、企業での労働のあり方を見直すよう促す動きを強めています。

働き方改革に大きな焦点が当たるようになった一つのきっかけとして、大手広告代理店の電通の女性社員が長時間労働などを苦にして自殺したことが公になったことを挙げることができるでしょう。このことで電通に強制捜査が入り、自殺社員の上司は労働基準法違反の疑いで書類送検され、当時の社長は辞任に追い込まれました。電通に対する世間の風当たりは強まりました。

電通は多大な損害を被りました。ただ、電通は日本最大の広告代理店で、「広告界のガリバー」の異名を持つ巨大企業です。広告取扱高では圧倒的なシェアを誇ります。また、企業間取引(BtoB)を基本とする企業です。そういった理由から、たとえ世間からの風当たりが強まっても、広告を出したい企業は電通などの広告代理店に頼らざるを得ないという実情があります。好き嫌いやイメージで取引ができない事情があります。そのため、時間が経過すれば電通は復活することになるでしょう。

■ 東京ディズニーリゾートで労働問題が表面化したら取り返しのつかないことになる

一方、オリエンタルランドはそうはいきません。運営するTDRは一般消費者を相手にするビジネス(BtoC)が基本です。電通のようなことが起きれば取り返しのつかない事態になるでしょう。政府が意図的に些細な労働問題を取り上げてオリエンタルランドを狙い撃ちするとも限りません。そういう意味でも、政府が推し進める働き方改革に賛同する形で組合員を拡大するといった待遇改善策を講じなければならない情勢があると推測します。

別の業界ですが、宅配便最大手のヤマトホールディングスが約7万6千人の社員を対象に未払い残業代を精算するという報道がありました。サービス残業が広がる宅配現場の改善に向けて労働環境の正常化を進めるというのです。どうも、働き方改革の推進競争の様相を呈してきたように思います。労働環境の改善に動いていることのアピール合戦ともいえます。

おそらく、一般消費者を相手にする企業でこうした動きが広がっていくのではないでしょうか。オリエンタルランドの組合員拡大の報道から、そのように思うのです。

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