アマゾンは出版取次大手の日販を介さず、出版社との直接取引を拡大させる方向です。2017年5月2日付日本経済新聞は「アマゾンジャパン(東京・目黒)は一部の既刊本について出版取次大手の日本出版販売(日販)への発注を6月末で取りやめる」と報じました。

アマゾンは顧客から注文を受けた書籍を日販などの取次から仕入れます。日販への発注で日販に在庫がない場合は、日販が出版社から取り寄せてアマゾンに供給します。日販に在庫がない場合は取り寄せに時間がかかることになり、アマゾンは注文した顧客に迅速に提供できないという問題を抱えています。

アマゾンは出版社から直接取り寄せることで、スピード対応を実現したい考えです。また、取次を介さないことで物流は効率化し、仕入れ費用を抑えることができるため、消費者に収益を還元することができます。

アマゾンは出版社と直接取引する動きを強めています。2015年4月22日付日本経済新聞は「出版大手のKADOKAWA(角川)が4月からインターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)と紙の書籍・雑誌の直接取引を始めた」と報じています。

また、日本出版者協議会は2015年12月16日付で「アマゾンによる出版社直取引(e託取引)の勧誘に対する声明」と題した文書を発表し、「アマゾンは、このところ、取次店と取引のある出版社を対象に、アマゾンとの直取引を勧誘するセミナーをたびたび開催している」と指摘しています。

大手の出版取次は出版業界において大きな影響力を持っています。小さな出版社は大手の出版取次から過酷な条件を押し付けられているといいます。アマゾンはそうした出版社を取り込む形で、出版社との直接取引の動きを強めています。

こうしたアマゾンの攻勢に対して出版取次は苦境に立たされるでしょう。出版社としては、アマゾンが提示する条件次第では業績向上が見込めます。一方、過度にアマゾンの影響力が強まってしまうと、主導権を奪われてしまうという懸念が出版社にはあります。大手の出版社の動向に注目が集まりそうです。

出版物の販売額は減少傾向を示しています。そうしたなかでアマゾンは出版社との直接取引を拡大させようとしています。業界の構図は大きく変わっていく可能性が高いといえるでしょう。

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