吉野家が農業事業を縮小したようです。2017年6月17日付日本経済新聞は「グループの外食チェーンの食材にするために神奈川県などでコメや野菜を作っていたが、黒字化のメドが立たず、生産をやめた」と報じました。

吉野家は2009年に「吉野家ファーム神奈川」を設立し、コメやタマネギなどの農作物を生産して牛丼の具などで使用することを目的の一つとして農業に参入しました。農業参入の背景には、2009年に大幅な農地法の改正が行われたことで農業生産法人への出資条件が緩和し、企業による農業参入の自由度が高まったことがあります。

例えば、流通大手のイオンは農業法人「イオンアグリ創造」を同じく2009年に設立しています。茨城県牛久市に農場を開設し、野菜や果物の生産を開始しました。生産された農作物は全国のイオングループのスーパーなどに納入されています。

イオンのように多くの企業が続々と農業に参入しました。企業が農業に参入する際に最大の課題となるのが優良な農地の確保です。農地法が改正された背景の一つとして耕作放棄地の有効活用が挙げられるのですが、耕作放棄により土壌品質は悪化してしまっているため、参入時点で優良な農地はそう多くはないという問題があります。

土壌品質が良くない農地で始めざるを得ない側面があります。そのため、参入初期に直面する課題が土壌改良になります。しかし、土壌改良は一朝一夕でいくものではありません。森林伐採や草刈り、堆肥の投入といった根気のいる作業が必要になります。計画的に参入し、中長期的な視点をもつことが欠かせません。

同記事では吉野家の農業事業について「事業の継続を諦めたのは、農地が分散していて経営効率が低かったことが一因」「グループ企業の品質基準を満たして出荷できたのはキャベツや白菜などにとどまった」と報じています。高い生産性の土地を確保できず、土壌改良で成果を上げることができなかったことが原因です。このことから、戦略性のなさが浮かび上がります。

吉野家のように、農業事業の撤退や縮小に追い込まれた企業は少なくありません。かつてオムロンやユニクロ、ニチレイが農業に参入しましたが、結局は撤退に追い込まれました。企業による農業経営の難しさが浮き彫りになっています。新たな戦略が求められているといえそうです。

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