政府は6月19日に成長戦略「未来投資戦略 2017」を閣議決定しました。様々な社会課題の解決を目指すものですが、その中で、企業の収益性を測る指標「総資産利益率(ROA)」の水準向上を目標として掲げています。

企業の収益性を測る指標はいくつもあります。よく目にするのは、売上総利益率(粗利益率)、売上高営業利益率、売上高純利益率といったところでしょうか。これらに比べるとROAはあまり目にしない指標かもしれません。

ROAは「Return On Asset(総資産利益率)」の略称で、純利益を総資産(総資本)で除したものです。計算式は「純利益÷総資産」になります。

ROAは、企業が投下した総資本が利益獲得のためにどれだけ効率的に利用されたかを表します。例えば、同じ額の利益を稼いだ企業が2社あったとして、ROAが高い企業は低い企業に比べて、より少ない資産で利益を稼ぎ出していることになります。一般的にROAは高ければ高いほど良いとされます。

政府は「未来投資戦略 2017」において、「大企業(TOPIX500)のROAについて、2025年までに欧米企業に遜色のない水準を目指す」と表明しました。今回、ROAを新たにKPI(重要業績評価指標)として設定するとしています。

ところで、ROAに似た指標にROEがあります。ROEは「Return On Equity(自己資本利益率)」の略称で、純利益を自己資本で除したものです。計算式は「純利益÷自己資本」になります。

ROEは、株主から集めた資本と企業が蓄積した純利益を合計した自己資本が利益獲得のためにどれだけ効率的に利用されたかを表します。そのため、「株主目線」を強調した指標になりがちです。

一方、ROAは自己資本に銀行借入金などの負債も加わります。そのため、従業員や部外者といった株主以外の目線も考慮されたものになります。

ROAはまた、貸借対照表と損益計算書の二つを加味した指標であるということも特徴的と言えます。例えば売上高純利益率は損益計算書の数値だけで成り立っていて、貸借対照表の数値は加味されていません。そのため、土地や建物といった資産がどれだけ効率的に機能しているのかがわかりません。

また、売上高純利益率などの「売上高」を分母として算出する指標の場合、売上高の意味合いが企業の営業形態によって大きく異なる場合があるので、比較が難しいという問題があります。

例えば、アパレル製品を扱う企業で、製品を買い取って販売する(もしくは自社で製造して自社で販売する)企業と、買い取りはせずに販売時に手数料を受け取る企業とでは、同じ製品を同数販売したとしても売上高は異なります。「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングなんかは前者ですし、衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイなどは後者に該当(一部買取も実施)します。

こうしたこともあり、売上高純利益率などの指標では収益性を公正に比較できない場合があるという問題点があります。一方、ROAは「資産」というあらゆる企業で共通する概念を用いる指標のため、取引形態や業種・業態が異なる企業間での収益性の比較がしやすいというメリットがあります。

政府はROAを新たにKPIとして位置付けました。2017年8月3日付日本経済新聞によると「2%台のROAを欧米並み(4%台)に引き上げる」とあるため、これに従えば、企業は効率性を2倍程度引き上げなければならなくなります。

例えば、眠っている遊休資産を有効活用したり売却したりするといったことが求められます。もちろん、稼ぐ力を高めることも必要です。

これまではあまり重要視されていなかったROAですが、今後は重要性が増しそうです。

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