2016年の主要企業のROAが8年ぶりに日本が米国を上回ったようです。

2017年9月2日付日本経済新聞は「2016年の主要企業の総資産利益率(ROA)は、日本が米国をわずかながら8年ぶりに逆転した」と報じました。

ROAは「Return On Asset(総資産利益率)」の略称で、利益(一般的に純利益)を総資産で割って算出する経営指標のことです。

同記事は「16年の日本企業のROAは2.90%と、5年前と比べて0.37ポイント上昇した。米国は0.36ポイント低下の2.89%。ドイツは1.35%と0.18ポイントの上昇にとどまった」と報じています。

ROAの重要性が高まっています。政府は成長戦略の一環としてROAの水準向上を目標として掲げています。民間では例えば、J・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店では、店長の評価指標にROAを導入すると報じられています(2017年8月26日付日本経済新聞)。

ROAは総資産で割って算出する指標なので、総資産が物差しとなります。総資産は、銀行からの借入金や株主からの資金などを使って手に入れた店舗や工場、現金といった財産の全てを指し示します。店舗などの資産がどれだけ利益を稼いだのかを示すのがROAとなります。

例えば、それぞれが100万円の純利益を稼いだAとBの2つの企業があったとして、 A社は1億円の総資産を持っていて、B社は1000万円の総資産を持っていたとすると、A社のROAは1%でB社は10%となります。

この場合、A社は1億円の総資産を持っていて、例えば豪華な店舗を構えているなどですごいように見えるかもしれませんが、B社と比べて効率的とは言えません。無駄に豪華なのかもしれません。

一方、B社の総資産は1000万円でみすぼらしい店舗しか持っていないかもしれませんが、10%という高いROAのため、A社に比べて効率的に店舗などの資産を活用して利益を稼ぎ出していることになります。無駄が少なく効率的な経営をしていることになるのです。

少し話は逸れますが、世界一の大富豪であるビル・ゲイツは飛行機に乗る時はエコノミーを利用することで知られています。飛ぶ時間は変わらないのだから、エコノミーの方が安く済むと考えているからです。この考え方は、少ない投資で効率的に利益・便益を得るという点でROAと発想が同じと言えるでしょう。

さて、日本の代表的な小売り・外食企業の2016年度のROAを確認してみます。純利益を期首期末平均総資産で除して算出しました。

イオン 0.13%
セブン&アイ・ホールディングス 1.77%
三越伊勢丹ホールディングス 1.15%
ファーストリテイリング(IFRS) 4.00%
ヤマダ電機 2.99%
ニトリホールディングス 13.30%
日本マクドナルドホールディングス 2.99%

ニトリのROAの高さが際立っています。少ない資産で効率的に多くの利益を稼いでいることを示しています。一方、イオンはかなり低い状況です。売上高と総資産はともに8兆円台と巨大ですが、利益が少なく効率的に稼いでいるとは言えません。無駄が多いと言えそうです。

ROAは「売上高純利益率」と「総資産回転率」に分解することができます。

ROA(総資産利益率)
=純利益÷総資産
=(純利益÷売上高)×(売上高÷総資産)
=売上高純利益率×総資産回転率

売上高純利益率は例えば、利益率の高い商品の品揃えを強化したり、無駄な経費を削減したり、借金を前倒しで返済して利息の支払いを抑えたりすることで高めることができます。

総資産回転率は例えば、在庫コントロール能力を高めて適正な在庫水準での運用を実現したり、使用することがない設備などを売却したり、借金を前倒しで返済したりすることで高めることができます。

もちろん、設備投資などで販売力が高まるのであれば投資して資産を増やすべきです。資産の増加はROAの低下要因となりますが、売上高が上がって利益も上がれば、結果としてROAが上がる可能性があります。

いずれにしても、これまで以上に「資産」の効率性が問われることになりそうです。

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