「州議会選挙での勝利、おめでとう」

アンゲラ・メルケル首相が率いる政党が小さな州の州議会選挙で勝利した際、ドナルド・トランプ大統領がメルケル氏に電話でそう伝えました。これに対し周囲は驚いたといいます。おそらく、メルケル氏自身も驚いていたことでしょう。「なぜかトランプ大統領から電話があった・・・」と。

これは2つの点で意外です。1つは、規模が大きいわけではない選挙での勝利にわざわざ大国の首脳が電話で祝福することはほとんどないからです。

もう1つは、トランプ氏とメルケル氏は仲が良いわけではなく、むしろ仲は悪い、相性が良くないとみられているにもかかわらず、電話で祝福があったからです。

例えば、先に挙げた州議会選挙よりも前の時期にホワイトハウスで両者が会談する機会があったのですが、会談はうまくいっているとは言い難く、そうした状況の中でメルケル氏がトンラプ氏に握手を求めたのですが、トランプ氏はそれを無言で拒否しています。両者の仲の悪さを象徴している出来事と言えるでしょう。

仲が良くないメルケル氏の、重要性が高いとは言えない選挙での勝利に、なぜトランプ氏はわざわざ電話で祝福したのでしょうか。

両国の間には貿易や移民の問題など多くの懸案事項が横たわっていて、簡単には相手国の首脳と仲良くできるような状況ではありませんでした。トランプ氏は握手を拒否したぐらいですから、選挙の勝利に電話で祝福する必要性もありません。メルケル氏にしても、トランプ氏から様々な注文をつけられたりして、トランプ氏のことを煙たがっていました。

しかし、トランプ氏はあえてメルケル氏に電話で祝福しました。ここにトランプ氏の交渉の巧みさを垣間見ることができます。心理学の「認知的不協和」を巧みに利用していたからです。認知的不協和とは、人が矛盾を感じた際にそのことに不快を覚えることです。その結果、人は不快感を解消するための行動を起こすようになります。

トランプ氏は嫌いなメルケル氏に電話で祝福しています。これは明らかに「矛盾」しています。逆にメルケル氏にしてみると、矛盾を突きつけられていることになります。自分のことを嫌っているはずのトランプ氏から電話で祝福されたという矛盾が生じます。つまり、メルケル氏に認知的不協和が生じるのです。

認知的不協和として不快を感じたメルケル氏はそれを解消しようと行動を起こすようになります。そうなると、「トランプ氏に対する感情」と「両国間に横たわる問題の解決」の2つの事象を切り離して考えるようになります。個人的な感情を切り離すようになるので、相手はより協力的な姿勢を示すようになります。これがトランプ氏の狙いです。

このように、交渉をする際は認知的不協和をうまく利用することで、交渉を優位に進めることができるようになります。例えば、隣の家に住んでいる人が飼っている犬の鳴き声がうるさく、あなたは迷惑に感じていてなんとかしたいと思っているとします。その場合、鳴き声のうるささに対しては積極的に抗議し、一方で飼い主のことは積極的に褒めるといいでしょう。そうするとその飼い主に認知的不協和が発生するため、鳴き声の問題を解消する方向で積極的に動き出すようになります。

認知的不協和をうまく利用することで交渉を優位に進めることができるのです。

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