女子大生のハンバーガー店経営物語

第三章 ハンバーガー店を開業

第一節

 2年前にハンバーガー店「バーガーサンデー」を開業した。桜上水駅近くの商店街にある物件が空き、運良く入居することができた。自宅からも近い。
 茂之と冬美は二人三脚で店を切り盛りした。すみれも学業に支障をきたさない程度で手伝った。数名のアルバイトが手薄な時間帯で勤務した。

 一家は繁盛店を夢見ていた。しかし現実は甘くなかった。最初は親族や友人、知人の来店、開店記念キャンペーンでの来店があり、それなりに繁盛していた。しかし、長くは続かなかった。
 次第に客足は遠のき、売り上げは低迷した。運転資金がある程度あるため生活ができないことはない。ただ、不慮の出来事があれば店は潰れてしまう状況だった。
 ただ、茂之と冬美はよく働いたため、競争が激しい飲食業界の中でも生き残ることができている。生活に余裕はないが、店を続けられているだけでも良い方なのかもしれない。ギリギリで踏みとどまることができている。

「そのうちに売り上げは上向く」と茂之は楽観視していた。しかし、そのような状況で不慮の出来事が起こってしまった。冬美がまたも倒れてしまったのだ。
 冬美は疲労が蓄積していた。家族に心配をかけまいと、そのことを隠していた。茂之は冬美の体調を常に気にかけていたが、いつも冬美は「大丈夫よ」と気丈に振る舞っていた。
 しかし、ハンバーガー店での仕事は予想以上に厳しいものだった。朝から晩まで休む暇がなかった。冬美は時折家に帰って休むことはあったが、疲労を完全に回復させるほど休むことはできなかった。責任感が強い冬美は体に鞭を打つようにして店に戻っていった。

 茂之は後悔した。自分の夢に家族を巻き込み、結果として冬美は倒れてしまい、またも入院することになってしまった。
 当初、茂之は経営を楽観視していて、すぐに冬美の手伝いは不要になるだろうと思っていた。しかし思うように売り上げが上がらず、冬美も長い時間働かなくてはならない状況に陥ってしまった。
 茂之は開業前から冬美の体調を案じていたが、冬美が積極的に手伝う意思を示したため、それに甘えてしまったのだ。

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