女子大生のハンバーガー店経営物語

第四章 強みと弱み

第四節

「次は弱みを挙げてみましょう」
「弱みねぇ。どうだろう。うーん。なかなか思い浮かばないな。何が弱みなんだろう」
 茂之は悩みながらも強気で答えた。
「弱点があるから売り上げが下がっているんでしょ」とすみれは叱るように言った。
「そう言われてもなぁ。サンデーバーガーは美味しいし。サービスは悪くないと思う。毎日清掃を徹底しているから店は綺麗だしな。弱点が見当たらないよ」
「じゃあなんでお客さまが来ないのよ」とすみれは詰問した。
「知らないよ、そんなこと。俺にきかないでお客さまに聞いてくれ。俺は精一杯やっているんだから」と茂之はヒートアップして答えた。
「お父さんはいつもそうなんだから。いつも自分は悪くないって自己防衛するんだから」
「朝から晩まで一生懸命に働いている。丹精込めてハンバーガーを作っているんだ。お客さまが味の良さを理解できていないだけだよ。そのうちに理解できるようになるはずだ」
 普段は沈着冷静な茂之も、この日は珍しくヒートアップした。思うように売れないことに苛立ちを隠せなくなっていた。

 雄一郎は二人の会話を冷静に聞いていた。
「雄一郎さんはどう思う?」とすみれは尋ねた。
 雄一郎は静かに口を開いて答えた。
「答えは今の二人の会話の中にありそうですね」
「今の会話の中に?」とすみれは狐に包まれたように質問した。
「そう。先ほど『俺にきかないでお客さまに聞いてくれ』とおっしゃってたけど、それが答えになるんじゃないかな」
「どういうこと?」とすみれは質問した。
「ハンバーガーが美味しいかどうか、お店が良いかどうかは、僕たちが決めることじゃなくて、お客さまが決めることだと思うんだよ。であれば、弱みは僕たちで決めるんじゃなくて、お客さまに聞くべきだと思うんだ」
「なるほど。確かにそうだな」と茂之が感心したように言った。
「なるほど」とすみれも同意した。

「でもどうすればいいんだ?」と茂之は雄一郎に質問した。
「アンケートをとりましょう」
「アンケートなら紙をテーブルに置いてすでにやっているよ」
「先月は何件アンケートを回収できましたか?」
「・・・0件かな」
「0件じゃ、していないのと同じだね」とすみれが苦笑いで言った。
「アンケートは置いただけではあまり意味がないですよ。積極的に回収する必要があります。期間限定でもいいので、全てのお客さまに配布しましょう」
「全てのお客さまに?」
「そうです」
「かなり無茶を言うね」
「まずは現状を把握することが第一です。多少の手間と費用はかかりますが必要経費です。お客さまの声を集めましょう。厳しい意見があるかもしれませんが、逃げてはだめです」
「まあ、そうなんだが・・・」
 こうしてバーガーサンデーでは、全ての客にアンケート用紙を配ることが決まった。注文伝票とアンケート用紙をセットにして客に渡すようにした。アンケートへの協力を依頼する一言も添えるようにした。期間限定で、抽選でハンバーガー無料チケットが当たるキャンペーンを行うことも決まった。

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