女子大生のハンバーガー店経営物語

第五章 機会と脅威

第一節

 強みと弱みを挙げる際は激論になった。すみれと茂之の意見が真っ向からぶつかった。雄一郎は二人の激論に満足げだった。
「意見がぶつかることは良いことだ。意見の相違から新しい価値が生まれる場合がある。二人はもっと話し合った方がいいな」と雄一郎は思った。

 雄一郎は続けて提案した。
「次は機会を挙げていきましょう」
「いわゆるビジネスチャンスってやつだな」と茂之は言った。
「簡単に言うとそうですね」
「外食産業は伸び悩んでいるとはいえ巨大な市場だ。マイスバーガーの勢いがそれをよく表している。そう考えると、マイスバーガーが狙っているところがビジネスチャンスになるんじゃないかな。そうなると、もっとマイスバーガーのことを研究する必要があるな」
「マイスバーガーの研究をしているのですか?」
「マイスバーガーの創業者が書いた本や、マイスバーガーの研究者が書いた本を、20冊以上は読み込んだかな」
「相当勉強していますね」
「一応ね」と茂之は照れながら答えた。
「それなのに売れていないよね」とすみれが単刀直入に言った。
「うちのハンバーガーの先進性にまだ世間がついてくることができていないだけだ。あと3年もすればついてくることができるようになる。なんせ本場アメリカ仕込みのハンバーガーだ。ほら、日本はアメリカの10年後を追っていると言うし。うちのハンバーガーを理解してもらうには少し時間がかかるんだよ」
「それって、お父さんのエゴと思い込みじゃない」
「何を言ってるんだ。エゴや思い込みじゃない。本場の味を理解してもらうには時間がかかるんだよ。辛抱強さが大事なんだ」
「でも、それまでにお店が潰れちゃったら意味がないでしょ」
「・・・」
 茂之とすみれとの口論が続いた。

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