6月7日付日本経済新聞は「三越伊勢丹ホールディングス(HD)は2018年度から3年間の設備投資額を従来平均にくらべ7割増の1500億円に引き上げる。富裕層を中心とする顧客のデータを統合するシステム投資が目玉の一つ」と報じました。積極投資で競争力を高める考えです。

デジタル分野への投資には「『3年で200億円以上を投じる』(杉江社長)。顧客向け積み立てサービス提供の会員組織の加入者やクレジットカード会員など、富裕層中心に現在200万人の顧客情報を持つ。ばらばらに管理するそれぞれの顧客情報を統合するシステムを導入。同意を得た上で店頭での顧客の購買履歴を分析し販売促進につなげる仕組みを19年度中に構築する」(同記事)といいます。

また、店頭で売っている商品をデジタル情報として登録し、インターネット上で検索できるようにしているといいます。

店舗改装への投資には「伊勢丹新宿本店のメンズ館に今秋から着手し、19年度には同店の本館も改装する」「2館の改装に100億円を投じる」「17年度から改装に着手している三越日本橋本店(東京・中央)には総額150億円を投資する」「札幌市や福岡市の地方店も訪日外国人需要の取り込みにつながる改装を予定。老朽化対策や設備更新とは別に、売り場拡張などの戦略的な店舗改装に年200億円前後の投資を3年継続する」(同記事)といいます。

08年の三越と伊勢丹の経営統合後の設備投資額は年平均300億円を投じてきました。17年度は384億円を投じています。18年度は520億円を投じる計画を示しています。18年度から3年間は年平均500億円の設備投資を行い、業績の向上を狙います。

三越伊勢丹HDの業績は厳しい状況が続いています。17年度の連結決算は、売上高が前年比1.2%増の1兆2688億円と微増にとどまり、最終損益は9.6億円の赤字(前の期は149億円の黒字)に転落しました。最終赤字は8期ぶりとなります。伊勢丹松戸店の店舗閉鎖損失や傘下の高級スーパー「クイーンズ伊勢丹」の店舗設備の減損損失などで261億円もの特別損失を計上したことが影響しました。人件費など販売管理費の削減が進まなかったことも響きました。

同社は販管費の抑制を狙い、中核事業会社の三越伊勢丹で17年秋に早期退職制度を拡充しました。退職金を最大5000万円積み増し、部長級の希望退職者の対象年齢を50歳から48歳に引き上げています。退職者を増やして余剰人員を減らし、中長期的な人件費の抑制を図る考えです。