業績好調なビックカメラ、傘下のコジマの貢献

 家電量販店業界2位のビックカメラの業績が好調だ。2018年8月期の連結決算は、売上高が前年比6.8%増の8440億円、純利益が26.8%増の171億円と大幅な増収増益を達成した。

 09年に導入された家電エコポイント制度から約10年が経過し家電の買い替え需要が高まっていることもあり、家電は総じて堅調に推移した。製品別売上高は大きい順に、携帯電話が前年比8.2%増の1173億円、パソコン本体が8.3%増の637億円、季節家電が8.1%増の556億円、理美容家電が3.8%増の455億円といずれも好調だった。

 ビックカメラの今回の好業績は子会社のコジマの収益改善が進んだことも大きい。コジマの18年8月期決算は、売上高が前年比5.9%増の2463億円、純利益が44.6%増の34億円と前年を大きく上回り、ビックの連結業績に大きく貢献した。

 経営不振に陥ったコジマは12年6月にビックの傘下に入り、同社の力を借りて経営再建を進めてきた。ビックとの共同仕入れによりコスト削減や品ぞろえの強化を図ったほか、13年6月に両社の名前を冠した「コジマ×ビックカメラ(K&B)」を出店し、以降、既存店のK&Bへの転換と不採算店の閉鎖を進めてきた。これらの取り組みが奏功し、収益の改善に成功した。

 コジマが好業績だったのは上位の製品カテゴリーの販売が大きく伸びたためだ。18年8月期の製品別売上高は大きい順に、季節家電が前年比7.9%増の316億円、携帯電話が19.1%増の235億円、冷蔵庫が4.2%増の206億円、テレビが6.1%増の187億円、洗濯機が7.4%増の182億円といずれも好調だった。

 現在、ビックカメラは大都市の駅前を中心に約50店を展開している。一方、コジマとK&Bは郊外を中心に約140店を展開している。「駅前のビックカメラ、郊外のコジマ」と立地では住み分けができている。

 ビックとコジマは立地戦略が異なるため、品ぞろえの強みが異なるのも特徴的だ。ビックは駅前の小さなスペースでも効率的に販売できる製品が多く、コジマとの比較でテレビなどの黒モノ家電やパソコン、理美容家電が強い。一方、コジマは広いスペースを確保しやすい郊外型の店舗が多いため大型の製品が多く、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの白物家電が強い。

 ビックとコジマは品ぞろえの強みが異なるので、それぞれの強みをもう一方に移植することで相乗効果を発揮してきた。例えばビックカメラが得意とするテレビなどの黒モノ家電やそのノウハウをコジマに持ち込んだ。また、ビックは傘下にパソコン販売店のソフマップを抱えており、そのノウハウをコジマに注入している。

 こうした取り組みが功を奏し、コジマは復活を果たすことに成功した。好業績を背景に今期(19年8月期)の業績見通しは強気だ。売上高は前年比5.5%増の2600億円、純利益は8.3%増の37億円を見込んでいる。

ビックカメラが酒販売?! 非家電の取扱強化による成長

 ビックカメラ自身の取り組みでも成果が出てきている。非家電分野の強化がその一つだ。ビックは近年、非家電分野の販売を強化しており、それにより医薬品・日用雑貨の18年8月期の売上高は前年比27.9%増の191億円、スポーツ用品が23.7%増の101億円、酒類・飲食物が20.3%増の70億円とそれぞれ大きく伸びている。それぞれの規模はまだまだ大きくはないが、今後の成長が期待できるといえるだろう。

 ビックは近年、非家電の販売を強化するためにそれぞれの専門店を新たに開発し出店する戦略を推し進めている。17年11月に玩具専門店「ビックトイズ」を商業施設「プライムツリー赤池」(愛知県日進市)内にオープンした。玩具はこれまでビックカメラの一角で展開してきたが、専門店での販売も始めた形だ。18年8月期の玩具の売上高は前年比6.2%増の130億円と大きく伸びており、専門店を出すことで販売をさらに伸ばしたい考えだ。

 17年11月には医薬品や日用雑貨などを扱う新型店「ビックカメラセレクト」を東京・原宿にオープンした。これまでビックカメラの一角で「ビックドラッグ」を展開し医薬品や日用雑貨を販売してきたが、新たに専門店を展開することで販売を強化しようとしている。

 18年8月には酒類の専門店「ビックカメラリカー」の出店を始めた。商業施設「アクアシティお台場」(東京都港区)に入居し、ワインやビール、日本酒などを販売している。ビックカメラでは旗艦店を中心にビック酒販が酒類の売り場を展開しているが、独立した店舗を新たに展開することで専門性を訴求したい考えだ。

 ビックカメラはコジマとの相乗効果などで家電の販売を強化するほか、非家電分野の販売を強化することで業界首位のヤマダ電機を追撃する。

業界首位、ヤマダの苦境

 ヤマダ電機は業界首位だが業績は厳しい状況が続いている。18年3月期の連結売上高は前年比0.7%増の1兆5738億円と微増にとどまった。純利益は13.8%減の297億円と大幅な減益となっている。今回わずかに増収となったが、売上高は近年減少傾向が続いている。減益は2期連続となった。

 ヤマダ電機は郊外の店舗が多く、都市部の駅前での店舗展開が課題となっている。近年、都市部の駅前で「LABI」の展開を進めているが、現状、ビックカメラやヨドバシカメラなどの駅前立地を得意とする家電量販店との競争で苦戦を強いられている。

 ヤマダ電機は非家電分野の収益改善も急務だ。非家電分野では住宅関連事業に力を入れているが、思ったような成果は出せていない。11年10月に子会社化した住宅メーカーのヤマダ・エスバイエルホーム(現ヤマダホームズ、旧エス・バイ・エル)の18年2月期の純損益は27億円の赤字(前の期は2億円の赤字)だった。ヤマダ電機の傘下に入った12年2月期以降、純損益で黒字を計上できたのはたった2期のみとなっている。

 ヤマダ電機がこのようにもたついていることもあり、ビックカメラには好機が到来している。ビックカメラはこのチャンスをものにすることができるのか。両雄の動きに注目が集まる。