「無断キャンセル」による国内飲食店の損失は年2000億円

 全国の飲食店が加盟する業界団体などが「無断キャンセル」した客に対し、キャンセル料を請求する指針をまとめた。飲食店の無断キャンセルは予約全体の1%弱を占めるといわれ、食材の廃棄などにより損失は年2000億円にのぼるとされる。指針を普及させることで無断キャンセルを減らし、飲食店の生産性向上を目指す。

 指針をまとめたのは、外食チェーンが加盟する日本フードサービス協会や個人経営の飲食店が多く加盟する全国飲食業生活衛生同業組合連合会、弁護士らで構成する団体。経済産業省や農林水産省、消費者庁も議論に加わった。

 無断キャンセルとは、予約をしたにもかかわらず、連絡せずに当日来店しないことを指す。指針では無断キャンセルの具体例として、「大学のサークルの飲み会ということで、幹事から居酒屋の3000円のコース50名分の予約を受けた。しかし、予約当日に一人も来店せず、店には何の連絡もなかった」ことなどを紹介している。

 指針では、無断キャンセルにより飲食店に損失が発生した場合、債務不履行不法行為に該当する可能性があり、キャンセル料を請求することが可能だと指摘している。

キャンセル料の基準は?

 指針では二つのパターンに分けて基準を示している。まずはコース料理を予約した場合だ。他の顧客に再販することが著しく難しいと考えられることから、指針は「全額を請求できる」とした。もう一つは席だけを予約した場合だ。損害賠償額の目安として「平均客単価から転用可能な原材料費や人件費などを除いた額」を挙げた。指針は、一般的な飲食店の収益構造から、店側の負担は売り上げの5〜7割になると推計。これに平均客単価を乗じた「平均客単価の5〜7割」がキャンセル料の目安となる。

 キャンセル料を請求するには、飲食店がキャンセル料の基準を明示し、予約客にその内容を説明したりすることが必要だとしている。キャンセル料の算定額は店の業態や営業の時期など店の状況によって異なってくることから、店側は自身の店の収益構造などに基づいたキャンセル料の算定と利用客への提示ができるよう予め準備しておくことを求めている。ショートメッセージサービスなどのITを活用し、来店確認やキャンセル連絡の受け付けが簡単にできる体制を構築する必要性も盛り込んだ。