「満場一致」は喜ばしくないこと?!

 経営において何かを決定する際に「満場一致」だった場合、はたしてそれを決定していいのだろうか。満場一致なのだから、決定しないという選択肢はありえないと言う人もいるだろう。それなりの人物が集まった中での満場一致だとして、それを決定しないことなどありえないと思うかもしれない。

 だが待ってほしい。たとえ賢人が集まった中での満場一致であっても、それは決定してはならない。むしろ、満場一致であることに危機感を抱くべきだ。満場一致の場合、それは決定を下してはならないシグナルであると考える必要がある。

 満場一致ということは、多くの人が支持することでもあり、つまり陳腐な考えである可能性が高い。それだと差別化できない可能性も高い。また、事なかれ主義が満場一致という形で現れた可能性がある。であれば、「満場一致した場合はそれを決定してはならない」という考えが成り立つ。

 経営学者のピーター・ドラッカーは〈エグゼクティブが直面する問題は、満場一致で決められるようなものではない。相反する意見の衝突、異なる視点との対話、異なる判断の選択があって初めて、よく行いうる。したがって、決定において最も重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではないということである〉(『経営者の条件』/P.F.ドラッカー著/上田惇生訳/ダイヤモンド社)と述べている。

 意見の不一致が存在した中で議論を尽くして最終的に満場一致したのであれば決定してもいいだろう。しかし、そうでないのであればそれは決定してはならない。むしろ反対意見がある中での決定の方が実効性がある可能性が高い。

 「相反する意見が衝突しただろうか」「異なる視点を取り入れて議論しただろうか」「判断材料が出尽くしただろうか」といったことを思い出しながら議論を尽くす必要がある。それでも満場一致しなかった場合はそのことを喜ぶべきだ。そしてそれを決定すべきだろう。意見の不一致が存在しないときには決定してはならない