万引きや風雨による損傷が懸念されるが…

 ドラッグストアは、軒先でトイレットペーパーティッシュペーパーを陳列することが少なくない。風雨にさらされたり、万引きされたりするなど、軒先で展開することには特有のリスクがあるように思える。それでも軒先でトイレットペーパーなどを陳列するのはなぜか。

 理由は複数考えられる。まずはスペースの問題だ。小さな店舗の場合、売り場スペースが限られるため、店内だけでは十分に陳列できないことが少なくない。そういった場合でも、軒先を活用することで十分な陳列が可能になり、売り場で多くの在庫を持つことができるようになる。

 軒先で陳列する商品を選定する場合、医薬品や化粧品は真っ先に除外されるだろう。これらは高額であることが多く、万引きされたり風雨で損傷を受けた場合に損害が大きくなってしまうためだ。

 一方、トイレットペーパーなどはたとえ万引きされたり風雨で損傷を受けたとしても、1個あたりの価格が低いので損害はそれほど大きくはならないだろう。また、トイレットペーパーやティッシュペーパーはサイズが大きいので、万引きするとなるとかなり目立ってしまう。会計せずに軒先から持っていったら、人の目につきやすいだろう。単価が低く持ち出しにくいため、万引きで得られるメリットはリスクの割に大きくはない。そのため、万引きされるリスクが低いといえる。これらを総合すると、トイレットペーパーやティッシュペーパーは軒先で展開するのに適した商材といえるだろう。

一番の理由とは?

 そして何より「購入頻度が高い商材」であることが大きい。これが一番の理由だろう。購入頻度が高い商材ということは、多くの人が関心を持つ商材ということになる。そういった商材を軒先で展開すれば、多くの人の関心を集めることができる。これが例えば「風邪薬」であったら、風邪をひいている人しか関心を集めることができない。こうしたことから、消費者に一番関心を持ってもらえる商品を一番目立つ場所である軒先で展開することが理にかなっているといえる。それに該当するのがトイレットペーパーやティッシュペーパーということになる。

 「安さを訴求しやすい」こともあるだろう。一般的にドラッグストアで販売するトイレットペーパーなどはコンビニエンスストアなどよりも安く販売している。「客寄せ商品」の意味合いが強い商材となっている。赤字で価格が大きく書かれたPOPが付けられ、安値で売られることが少なくない。こうすることで当該商品の安さを訴求できる。また、店全体の価格が安いと思わせることも可能だ。トイレットペーパーなどと同じような形で高額な医薬品に赤字で価格が大きく書かれたPOPを付けて訴求すれば、同じように「安い」と思わせることができる。

 多くのドラッグストアは食品や家庭用雑貨を安値で販売して集客し、利益率の高い医薬品などを買ってもらうことで収益を上げている。例えば、ウエルシアホールディングスの2018年2月期の品目別売上総利益率は、食品が20.4%、家庭用雑貨が26.7%と低い一方、医薬品が38.9%、調剤が39.1%、化粧品が32.9%と高くなっている。トイレットペーパーなど家庭用雑貨は利益率を抑えて安値で販売されていることがわかる。

 トイレットペーパーやティッシュペーパーは保存性に優れ、買い溜めしやすい商材であることも大きい。長期にわたって保存できるので、喫緊に必要がなくても安ければ買っておいて損はない。そういう意味で、食品よりも軒先展開に適しているといえるだろう。食品も安さを訴求しやすいが、ものによっては長期保存ができないので買い溜めされる商材とは一概にはいえない。また、商品によって好き嫌いが分かれやすいので、多くの人の関心を集めることができない。例えば、シリアル商品はある程度長期保存ができるが、シリアル商品を好まない人は当然一定数いるので、シリアル商品を軒先で展開しても多くの人の関心を集めることはできないだろう。そういったことから、食品よりもトイレットペーパーなどの方が軒先で展開するのに適しているといえる。

 これらを総合すると、ドラッグストアではトイレットペーパーなどを軒先で展開することは合理的といえそうだ。