赤字垂れ流しが続いている…

 イトーヨーカ堂の業績不振が深刻だ。2019年2月期の最終損益は78億円の赤字だった。最終赤字は5年連続。18年2月期は58億円、17年2月期は137億円、16年2月期は239億円、15年2月期は68億円の赤字だった。

 売上高にあたる営業収益は減少が続いている。19年2月期は前期比0.6%減の1兆2361億円だった。減収は3年連続。長らく減少傾向が続き、10年前からは15%減った。既存店の不振と店舗数の減少が営業収益低下の要因となっている。

 主力の総合スーパー(GMS)「イトーヨーカドー」の競争力低下が深刻だ。てこ入れを図っているものの成果は出ておらず、改善の兆しは見えていない。そのため、既存店売上高は苦戦が続いており、19年2月期まで3年連続で前年割れとなっている。

 ヨーカ堂は、17年2月期から21年2月期にかけて収益改善の見込めない40店を閉鎖する方針を掲げている。この方針に沿って店舗閉鎖を進めており、その結果、19年2月末時点の店舗数は3年前より23店少ない159店となった。

 このように、既存店の不振と店舗数の減少が業績低迷につながっているわけだが、いずれもヨーカドーの競争力の低下が元凶となっている。では、なぜヨーカドーの競争力は低下しているのか。

 まず、GMSが時代にそぐわなくなったことが挙げられるだろう。GMSは食品や衣料品、日用雑貨、家具などを扱い、幅広い品ぞろえを売りとしてきた。だが、ユニクロニトリといった専門店やネット通販が台頭し、GMSでは衣料品や日用雑貨、家具の販売が苦戦するようになった。

食品がカギ?!

 そこでGMS各社は伸び代がある食品の強化に動いている。それはヨーカ堂も同様で、既存店の食品売り場を拡充したり、食品中心の小型店「イトーヨーカドー食品館」の出店を進めるなどして対応している。

 ただ、ヨーカドーでは食品において高い競争力を実現できていない。特に大きな問題となっているのが価格の高さだ。低価格を武器にした「オーケー」「ロピア」「トライアル」「ベイシア」「アコレ」「ビッグ・エー」といったスーパー・ディスカウントストアと比べるとヨーカドーの価格の高さが際立つ。そして、そういった低価格店が台頭しているため、ヨーカードーは高い競争力を実現できていないのだ。

 一方でチャンスもある。ヨーカドーは駅チカに多く立地しているのが特徴だが、都心回帰で都市部への人口流入が進むなか、都市部の駅の近くでは高層マンションの建設が進むようになり、それにより都市部の駅チカにおけるスーパーのニーズは高まっている。そういった需要を取り込むことが期待できるのだ。

 ただ、駅チカではヨーカドーのような大型のスーパーよりも小型のスーパーに分があるといえる。低コストで機動的に効率よく運営できるためだ。

 小型スーパーに力を入れているのがイオンだ。コンビニ並みの広さのスーパー「まいばすけっと」が筆頭格で、近年店舗数を増やしている。現在、東京と神奈川、北海道で約800店を展開。立地は住宅街が多いが、駅チカ立地の店舗も増えている。イオンはほかに「アコレ」や「イオンエクスプレス」といった小型スーパーも展開している。

 一方、ヨーカ堂は食品館で対抗したい考えだ。食品館は平均的なヨーカドーの10分の1程度、コンビニの4倍程度の大きさとなる。生鮮食品や総菜の品ぞろえが充実しているのが特徴だ。10年から展開を始めているが、今後も出店を進め、収益の柱に育てたい考えだ。

 また、ヨーカ堂は16年にてこ入れ策として不動産の再開発を打ち出している。駅チカ店舗をマンションや保育所などの複合施設に転換し、そこに食品スーパーを出店するというもの。駅チカ店舗が多いという強みを生かし、人口が増加している都市部の駅周辺地域の需要を取り込みたい考えだ。

 さらに、食品を強化するほか、販売が振るわない衣料品など自社運営の売り場を縮小し、テナントへの切り替えを進めている。加えて、老朽化した店舗の改装も積極的に実施している。

 ヨーカ堂はこのように店舗の魅力を高めることに努めている。それにより一部では成果が出ている。だが、食品強化に関しては成果が出ていない。19年2月期の食品部門の売上高は前期比1.2%減だった。全店売上高の減少幅(0.6%減)よりも大きいことから、既存店における食品強化策が功を奏していないことがわかる。食品部門の売上高は全体の4割以上を占める重要部門。その食品で成果を出せておらず、暗雲が立ち込めている。

 ヨーカ堂は正念場に立たされている。今期(20年2月期)は不採算店の閉鎖を進めるほか、22店に140億円を投じて改装を実施する。店舗の魅力を高めて集客を図り、収益を改善させたい考えだ。